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日本の漁師はパニック? 北方四島海域の安全操業中断続く タコ漁も見通し立たず

ロシア政府が許可しなかったため、日本の漁師は南クリル諸島(北方四島)でホッケ漁に出ることが出来ていない。例年10月から始まるタコ漁にも暗雲が立ち込めている。北海道新聞が報じている。日本は以前、日ロの政府間協定の枠組みの中で南クリル諸島海域で漁業を行っていた。(※安全操業のこと) 現在、日本による制裁を受けて、ロシア政府は非常に厳しい措置をとっており、交渉は全く行われていない。羅臼の漁師らは1月から3月にかけて国後島沖でスケソウダラを漁獲できなかった。ホッケは例年9月16日に解禁され、12月末まで続くが、羅臼漁協の船は再び遊休状態となっている。10月16日には、小クリル列島(色丹島歯舞群島)近海でタコ漁が始まる。多くの漁師はすでに装備を購入しているが、ロシアとの交渉が再開できなければ、根室半島沿いでの操業に切り替えることを余儀なくされる。北海道の鈴木直道知事は、出漁できない漁民への支援を政府に粘り強く求めていくと述べた。(astv.ru 2023/9/26)

ホッケ安全操業、出漁できず 政府間協議にロシア応じず タコ漁にも暗雲

(北海道新聞デジタル2023/9/19)

 【羅臼根室】ロシアが実効支配する北方四島周辺海域で、日ロ政府間協定に基づき日本漁船が行う安全操業のホッケ刺し網漁が、漁期の16日を過ぎても出漁できない状況が続いている。ウクライナ侵攻を続けるロシアと今年の操業に関する政府間協議を開けないためで、10月に漁期を迎えるタコ空釣り縄漁の行方も見通せない。出漁予定の根室管内羅臼町根室の漁業者は前浜での操業に切り替えるなどの対応を迫られており、一日も早い出漁を望む声が出ている。

■交渉再開望む漁業者「漁民に罪はない」

 「半年前から網の注文などの準備をしてきた。交渉が始まれば、残りの漁期が少なくなっても皆(安全操業に)行きたいと思っている」。羅臼漁協所属で、出漁を予定する野圭司船長(61)は願うように語った。

 安全操業協定は、四島の管轄権に日ロ双方が触れない形で、日本漁船の操業を認める枠組み。ロシア側に資源保護協力費などを支払って、1998年から行われてきた。国後島周辺で操業するホッケ刺し網漁は例年9月16日の解禁で、12月末までが漁期だった。

 ただ、ロシア側は今年1月、ウクライナ侵攻に対する日本の制裁に反発し、協定の履行に向けた政府間協議に応じない方針を発表。通常は前年末までに政府間協議と民間交渉が行われ、具体的な操業条件などが決まるが、年明け以降も交渉に入れない状況が続く。

 松野博一官房長官は19日の記者会見で、安全操業について「ロシア側から操業実施に向けた肯定的な反応は得られていない」と説明。操業実施へ「引き続き適切に対応していく」と述べるにとどめた。

 羅臼の漁業者は、安全操業で1~3月に予定した国後島周辺のスケソウダラ漁も出漁できず、日ロ中間ラインの手前での操業を強いられた。今季のホッケ漁は羅臼漁協所属の8隻が出漁を見込んでおり、萬屋昭洋組合長は「国と国同士のことなので、簡単にいくとは思ってはいないが、政府にはなんとか交渉してほしい」と述べた。

 10月16日から漁期のタコ漁は根室拠点に歯舞群島色丹島周辺で行われる。既に四島周辺水域での漁に向けた機材を確保している漁業者も少なくないが、交渉できなければ各漁船は11月からの根室半島沿岸の漁に切り替えざるを得ない。根室のタコ漁師は「資源量が豊富な四島水域に出漁したいが今は前浜への準備を進めるしかない」と語った。

 鈴木直道知事は19日の道議会代表質問で、安全操業について「一日でも早い操業の実現に向け国に粘り強く働きかけていく」と述べ、出漁できない漁業者への支援についても国に求めていく考えを示した。(森朱里、川口大地、村上辰徳)

(北海道ニュースUHBより)