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安全操業9月中にも出漁へ 日本外務省、ロシア側へ送金手続き

 ロシア外務省が北方四島周辺水域での日本漁船の安全操業に関する協定の履行を停止した問題で、日本外務省は22日、ロシア側が協定履行の条件としていたサハリン州との協力事業に関する援助金約1億5千万円の支払い手続きを始めた。これによりロシア側の協定履行の条件が整い、出漁を見送っていた9月16日解禁のホッケ刺し網漁は、早ければ月内にも操業できる見通しとなった。(北海道新聞2022/9/23)

 ロシアはウクライナ侵攻に対する日米欧の制裁で、国際決済網から排除されており、送金方法が課題となっていた。日本外務省によると、制裁に抵触しない形で金融機関を通じた送金にめどがつき、手続きを開始したという。

 安全操業は1998年に日ロ両国間で調印した協定に基づき、ロシアが実効支配する四島の管轄権に触れない形で行われてきた。同州との協力事業に関する援助金は安全操業の操業条件には入っていないが、ロシア側の要望に応じて事実上一体の形で、ほぼ毎年支出してきた。

 関係者によると、ロシア側は援助金が支払われれば、協定を履行する見通し。ホッケ刺し網漁には羅臼漁協(根室管内羅臼町)所属の11隻が出漁を予定しており、漁業者向けの指導会議などを経て、出漁する。

 日本政府は、サハリン州への援助金について、欧米と協調して対ロ制裁を行う中で支払うことに当初、慎重姿勢だったが、漁業者の意向を踏まえて松野博一官房長官が16日に支払う意向を表明していた。(荒谷健一郎、今井潤)