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「安倍氏が2島軸に転換」 道新政経懇 本紙記者が領土交渉を解説

 道新苫小牧政経文化懇話会(代表幹事・貴志雅之北海道新聞苫小牧支社長)の例会が21日、苫小牧市のグランドホテルニュー王子で開かれ、北海道新聞でロシア関係の報道に携わってきた東京報道センターの渡辺玲男部次長=元モスクワ駐在=が「安倍元首相の対ロ外交とウクライナ侵攻」と題して講演した。(北海道新聞苫小牧日高晩2022/9/22)

 渡辺部次長は安倍晋三元首相が在任中に取り組んだ北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉について、「安倍政権以前の交渉方針だった北方四島返還から2島返還を軸とした交渉に大きく転換した」と指摘。安倍政権は2島での決着でも、1993年の東京宣言に盛り込まれた「四島の帰属問題の解決」に当たると解釈していたと説明した。

 また、日本国内での関心の低下やロシアでの愛国ムードの強まりから「領土交渉の早期再開は困難な状況」との見方を示し、安倍政権の交渉を検証した上で「長期的な対ロ戦略の再構築が必要だ」と強調した。

 ロシアのウクライナ侵攻については、支持率の高まりなどから「(ロシア、ウクライナ)両国首脳とも国内で引くに引けない状況にあり、長期化の恐れがある」と話した。(柳沢郷介)