北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

国後島 1980年代に移入されたヨーロッパミンクの定着を確認

国後島のクリル自然保護区は、2月から3月にかけて行った冬季の足跡調査で、1980年代初頭に島に移入されたヨーロッパミンクの足跡を確認した。絶滅危惧種に指定されているヨーロッパミンクは2014年に足跡が見つかってから、毎年確認されており、移入から40年以上たって島に根付いていることが確実になった。ヨーロッパミンクは、絶滅危惧種を保護する目的で1980年代に択捉島国後島に移入された。択捉島では、1986 年から1989 年にかけて254匹がティハヤ川、ゴルバヤ川、スラブナヤ川、ソフィア川に放たれた。国後島では1981年、1984年、1985年に134匹(雄76、雌58)がチャティナ川、フィラトフカ川、ボリシェヴァ川に移入された。しかし、巣穴は水辺から6〜10メートル以内にあるため、水位が上昇することで大部分が死んでしまうため、島内に個体が存在しているとは考えられないとされた。ところが2014年以降、足跡やトラップカメラの映像などヨーロッパミンクの存在に関する信頼できる情報が現れた。2023年には5件の情報が記録された。 そのうち 4 件は足跡で、1件はカメラトラップがとらえた自然の生息地にいる個体の映像だった。2024 年は2 件記録されており、2 月 23 日にドミトリー・ソコフ検査官がアンドレーエフカ川で足跡を確認。3 月 6 日にはミハイル・ラギモフ検査官が川の上流で足跡を見つけた。同自然保護区は島の住民と観光客にヨーロッパミンクに関する情報提供を呼び掛けている。(サハリン・メディア2024/3/18)

https://youtu.be/jyswFG26zFQ

https://youtu.be/1GQ5b4kqyTM

国後島のヨーロッパミンク。2022年撮影

サラトフカ川とチャチャ火山(爺爺岳)、冬期の足跡調査で

サラトフカ川近くでヨーロッパミンクが飛び跳ねた跡。2024年3月撮影

ヨーロッパミンクの足跡、右側はウサギの足跡

北方領土返還を若い視点で討論 中高生「サポーター」、札幌で会議

 北方領土返還要求運動の担い手として活動する中高生の「北方領土サポーター」の会議が17日、札幌市北区で開かれた。札幌市やその近郊、根室管内など道内各地からの10人が、自分たちの世代ができる啓発活動について案を出した。(北海道新聞デジタル2024/3/18)

 参加者は3~4人の班に分かれて話し合った。「道内の中学、高校で北方領土に関する自由討論を行う」「さっぽろ雪まつり雪像を作る」「イベント時に、北方領土の特産品を用いたグッズを販売する店を出す」などと提案した。

 参加した北広島・西の里中3年の柿原明さん(15)は「啓発活動が政治的な運動だと思われると、参加のハードルが上がってしまう。北方領土の自然や暮らしなどをアピールし、身近に感じてもらうのが重要だと思う」と話していた。

 北方領土サポーターの事業を行う道によると、サポーターには現在、86人が登録している。

自分たちができる啓発活動について案を出しあう北方領土サポーターたち

遠のく四島返還、根室危機感 プーチン氏5選 元島民「時間ない」

 【根室】ロシアのプーチン大統領が大統領選で通算5選を決め、北方領土返還運動原点の地・根室では、領土問題の解決がさらに遠のくとの懸念が広がった。プーチン氏の次の任期は2030年までの6年間。平均年齢88歳を超えた北方領土の元島民からは「これ以上、日ロ関係が悪いまま時間だけが過ぎることはあってはならない」と訴える声が上がった。(北海道新聞デジタル2024/3/18)

 「大統領が誰であっても返還を訴え続ける姿勢は揺るがない。ただ、われわれに残された時間はあまりにも少ない」。元島民らによる千島歯舞諸島居住者連盟の角鹿泰司根室支部長(86)は18日、プーチン氏の5選に危機感を示した。

 ロシアのウクライナ侵攻による日ロ関係悪化で平和条約交渉や北方四島とのビザなし渡航の再開は見通せず、ロシア憲法の改正で「領土割譲」も禁止された。領土問題を巡る状況はプーチン氏の4期目の間に厳しさを増し、角鹿支部長は「ロシアがプーチン体制で変わらない以上、日本からより積極的に交渉再開を働きかけ、何とか事態を打開してほしい」と願う。

 根室経済を支える漁業も、四島周辺での日本漁船の安全操業がロシア側と交渉できない状況が続くなど、影響は大きい。

 ロシアがウクライナ侵攻を始めた22年のサンマ漁では当初、四島周辺のロシア主張排他的経済水域の航行を不安視し、この水域を南に迂回して漁場に向かう漁船が相次いだ。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、同水域の航行でこれまでトラブルはないが、根室市のサンマ大型船主、飯作鶴幸さん(81)は「ロシアによる日本の非友好国指定が解除され、安心して航行できる以前の状態に早く戻ってほしい」と訴えている。

国後島・植沖墓地の墓標

プーチン氏、極東も得票率80% ロシア大統領選 四島90%超

 17日のロシア大統領選で通算5期目の当選を決めたプーチン大統領は、極東でも大幅に得票を伸ばした。極東連邦管区の11構成主体別の得票率は60%台が多かった前回2018年から一変し、全て80%以上を記録。北方領土は90%を超え、島民からも「信じがたい」との声が漏れた。3日間の投票期間中は全土で多くの不正が指摘され、プーチン氏に抗議の意思を示した有権者が各地で拘束された。(北海道新聞2024/3/19)

 中央選挙管理委員会が発表した日本時間18日夕時点のプーチン氏の得票率は、18年の前回大統領選後に首長が更迭されたサハ共和国で同年比約23ポイント増の87.79%を記録。20年にプーチン政権に批判的だった知事が逮捕されたハバロフスク地方も80.06%で、政権が目標に据えた「得票率80%」に滑り込んだ。

 北方領土を事実上管轄するサハリン州は86.37%。北方領土はクリール地区(択捉島)で91.06%、南クリール地区(国後、色丹両島)で96.78%を記録し、いずれも前回の70%台から大幅に伸びた。

 異例とも言える結果について、四島関係者は愛国心が高まる現状に加えて「集落が小さく、投票しないと何を言われるかわからない」と説明。一方、ある島の住民は「数字が跳ね上がりすぎ。ここまで上がるとさすがにおかしい」と開票結果に疑問を投げかけた。

 極東以外では、チェチェン共和国で99%を超えるなど9割以上の地域が相次いでいる。

 独立系の選挙監視団体「ゴロス」によると、全土で投票期間中に寄せられた不正の疑いは計約2千件に上る。新たに導入された電子投票が不正の温床になったほか、選挙管理委員が投票箱に投票用紙の束を入れる場面が複数の投票所で確認された。同じ公務員が3カ所の投票所で投票させられた地域もあったという。

 2月に死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の陣営が呼びかけた17日正午に「反プーチン」票を投じる行動は、首都モスクワをはじめ各地に広がり、投票所には行列ができた。人権団体「OVDインフォ」によると、日本時間18日午後5時までに22都市で87人超が拘束され、一部はナワリヌイ陣営の呼びかけに応じた市民だとみられている。

国後島での投票風景

択捉島 暴風雪で学校は臨時休校

19日、択捉島では悪天候が続いている。予報によると、場所によっては大雪となり、突風は25メートルに達すると予想されている。クリル地区行政府は学校を休校とし、遠隔モードに切り替えると発表した。吹雪はエネルギー供給システムの運用に混乱を引き起こし、屋根や建物のファサードに損傷を与える可能性がある。住民は不要不急の外出を避けるよう呼び掛けられた。(sakh.online 2024/3/19)

https://t.me/gazeta_km/14781



 

択捉島 プーチン氏の得票率91% サハリン州の平均86%を上回る

択捉島などを管轄するクリル地区では、3,809人の有権者ウラジーミル・プーチン氏に投票した。得票率は91.06%に達した。2位は共産党のニコライ・ハリトーノフ氏で134票(3.20%)3位は自由民主党レオニード・スルツキー氏が105人( 2.52%)、新国民党のウラジスラフ・ダワンコフ氏は78票(1.86%)だった。クリル地区でのプーチン氏の得票率はサハリン・クリル諸島全体の平均86.37%を上回った。(赤い灯台テレグラム2024/3/18)

 

「宝引き」-- 北方四島で冬に行われた娯楽

国後島民の会」の令和6年度通常総会が17日、千島会館で開かれました。総会終了後の懇親会の余興として行われた「宝引き(ほうびき)」の様子です。水晶島の元島民・橋本三治さんによると、「二メートルくらいの縄を十五本ほど束ね、一本に鈴を付けてそれを当たりとした。十人くらいでお金を賭け、当たりを引いた人が一人占めした」といいます。漁に出られない冬の間の娯楽の一つでした。人数分の縄を束ねるのが親で、勢いよく机の上に打ち付けた後、射幸心をあおりながら場を盛り上げる口上が面白かったらしい。