北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

4月30日は消防の日 国後島・色丹島に3消防隊64人の消防士

375年前の4月30日--モスクワで消防署が設立された。国後島色丹島歯舞群島を管轄する南クリル地区の消防署にも独自の歴史がある。1947年9月22日付のサハリン州内務省の文書(第27号)によると、ユジノクリリスク(古釜布)村を守るための最初の消防署が設置された。現在、地区にはユジノクリリスク村の第 49 消防隊、クラボザボツコエ(色丹島・穴澗)村の第 50 消防隊、ドゥボボエ村(国後島南部)の第 49 消防隊があり、64人が勤務している。消防創立の日を前にゴミレフスキー市長は、第50消防署副署長のアンドレイ・トカレフ氏と第49消防署の警備隊長ユーリ・ピナイキン氏に感謝状を贈った。南クリル消防署は30日午前10時から12時までユジノクリリスクのレーニン広場で消防設備を展示し、隊員による消火活動を披露する。(南クリル地区行政府テレグラム2024/4/26)

 

択捉島 詐欺事件で有罪となった元副市長は、汚職を追及する検察官だった

詐欺罪で懲役2年の有罪判決を受けた択捉島の元第一副市長、オレグ・シェフツォフ被告は2016年から第一副市長に就任する2020年まで同地区の地方検察官を務め、行政の怠慢や汚職を追及していた。判決によると、2021年年7月、裁判所の決定により行政府はクリリスク(紗那)のサハリンスカヤ通りに歩道の整備を命じられた。副市長は同じ詐欺事件で執行猶予判決を受けた建設会社の社長に見積もりを提出するよう提案し、社長は25万3,000ルーブルで見積もりを出してきた。ところが、副市長は架空の業務を追加するなどして43万ルーブル水増しした。同年11月、副市長はこの社長との間で、自宅を350万ルーブルで建てる契約を結び、水増しした17万7,000ルーブルを社長の取り分として、この中から10万ルーブルを自宅の建築費に回した。(citysakh.ru 2024/4/26)

行政を追及していた検察官が第一副市長に就任 択捉島クリル行政府 - 北方領土の話題と最新事情 (hatenablog.com)

元副市長のシェフツォフ被告(右側)

反政権ロシア人に在留許可 日本政府、弾圧考慮か

 ロシアのプーチン政権を批判し、ウクライナ侵攻開始前に日本に事実上亡命して難民認定を求めているロシア人男性に対し、法務大臣の裁量で例外的に滞在を認める「在留特別許可」が3月中旬に出たことが25日、分かった。男性本人や関係者が明らかにした。難民認定を申請したロシア人に在留許可が出るのは異例。(北海道新聞デジタル2024/4/25)

 ロシアではウクライナ侵攻以降、政権が反体制派の市民を徹底的に弾圧しており、日本政府が事情を考慮した可能性がある。

 男性は「強権的なプーチン大統領が支配するロシアから離れたかった」と強調。ロシアに戻れば「刑務所に入れられるかウクライナの戦場に送られる」と話した。

 出入国在留管理庁によると2019~23年の5年間、難民認定を申請して実際に認定されたり、人道的配慮から在留特別許可を得たりして在留を認められたのはアジアや中東、アフリカの国籍者が多く、ロシア人はいなかった。入管庁は24年の実績を公表していない。

 男性は22年2月の侵攻開始前に入国し、入管施設に収容された後、難民認定を申請。その後一時的に収容を解く「仮放免」となっていた。入国の詳しい経緯や所在地については「ロシア当局の監視が及ぶ恐れがあり、明らかにできない」としている。

 今回与えられた在留資格は「特定活動」で期間は1年。移動の制限がなくなり、一定の範囲内で就労が認められる。

 ロシア人の在留許可を巡っては、ウクライナ侵攻に反対し侵攻後に入国した女性2人に対し、入管当局が特例で在留資格を「短期滞在」から「留学」に切り替え、中長期の滞在を認めた事例が昨年判明している。2人は難民認定の申請はしていなかった。(共同)

出入国在留管理庁が入る庁舎=25日午後、東京都千代田区

旧ソ連映画の上映会を主催する 守屋愛さん

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、日ロ関係が悪化する中、旧ソ連映画の上映会を東京で続けている。「ロシアは隣国。どんな時代でも相手を知る窓口は必要です」

 東西冷戦時代、あまり情報が入ってこない旧ソ連に関心を持った。ロシア語専攻の大学に合格したが、周囲に反対され入学を辞退。それでもロシア語の勉強を続け、東京都内の大学でロシア語の非常勤講師を務めるようになった。

 知人の紹介で、6年前からロシア映画の字幕作成に携わる仕事も始めた。「映画は国民の生活や笑いのツボがわかる」。日ロの相互理解に役立つと手応えを感じていたが、2022年2月にウクライナ侵攻が始まった。

 対ロ制裁の影響でロシアの配給会社に送金できず、現代のロシア映画の上映は困難に。字幕翻訳の仕事もなくなった。「こんな時代に何ができるのか」。悩んだ末、鉄のカーテンに閉ざされていた時代の旧ソ連の映画の上映会を思いついた。

 旧ソ連映画の著作権を持つロシアの映画スタジオと交渉し、無償で日本語字幕を提供することで上映権を獲得。昨年1月から「発掘上映会」と題し、旧ソ連で人気だったガイダイ監督のコメディー映画などを計7回上映した。毎回100人超が訪れ、5月にも都内で開催予定だ。

 米ソ友好をテーマに両国首脳の協力を描くなど今の時代では考えられない作品もある。「映画は歴史の一ページにもなる。隣国や複雑な世界情勢を知るため、過去を発掘することは大切だと信じている」。東京都出身、都内在住の54歳。(北海道新聞2024/4/26)

 

四島ウオッチ 国後島・古釜布 解放を強調「勝利公園」

 北方領土を実効支配するロシアが、国後島の中心地、古釜布(ユジノクリーリスク)郊外で「勝利公園」の整備を進めている。街の中心部には第2次世界大戦の戦死者を追悼する勝利広場が既にあるが、勝利公園は日本軍からの島の「解放」をより強調する場になっている。(北海道新聞2024/4/26)

 公園の場所は、大戦末期に北方四島に侵攻した旧ソ連軍の上陸地点。元々何もない原っぱだったが、2020年に公園に整備することが決定。旧ソ連製戦車など兵器4台が展示のために運び込まれ、23年には子供用遊具が設置された。

 公園そばの道路の名称は、ロシアの対日戦勝記念日にちなんで「9月3日通り」と名付けられている。島の「解放」を記念した兵士の胸像もあり、数年前から対日戦勝記念日と5月9日の対ドイツ戦勝記念日の式典も胸像の前で行われてきた。

 地区議会の議員は、整備の目的について「住民と訪問者の愛国心を力強く育む」と語り、式典のほか学校の授業などでも活用していく考えを示す。ソ連軍は日ソ中立条約を無視して四島に侵攻し、日本は「不法占拠」だとして島の返還を求めるが、ロシアの実効支配を宣伝する場がまた一つ増えそうだ。

 公園は今年、緑化や舗装、トイレの設置などを進めて対日戦勝記念日までに完成させるとみられる。四島関係者によると、郊外にあり放し飼いされた牛がふんをすることなどから、普段は住民が集う場にはなっていないという。

国後島古釜布の郊外で整備が進む勝利公園(四島関係者提供)

 

国後島出身の軍人が「兵役逃れ」の罪で懲役6年の厳罰に

国後島から動員された軍人が許可なくユジノサハリンスク(サハリン)の部隊を離れたとして、軍事裁判所から懲役6年の厳罰を受けた。軍人は「脱走」した後、ユジノサハリンスクに滞在したが、その後居住地である国後島ユジノクリリスク(古釜布)に戻っていた。一時病院に入院していたが、その後自主的に部隊に復帰していた。軍事裁判所は兵役逃れの罪で有罪とし、懲役6年の刑を言い渡すとともに、「警備下級軍曹」の階級をはく奪した。(sakh.online 2024/4/25)

 

択捉島の元副市長 詐欺罪で懲役2年の判決 サハリン控訴審

サハリン州地方裁判所は、詐欺罪に問われた択捉島を管轄するクリル地区の元第1副市長オレグ・シュ・シュ・ジョン被告の控訴審で 日、懲役2年とした原判決を支持す判決を下した。被告は公職を利用した詐欺罪で告発され、昨年12月18日のクリル地方裁判所で2年の懲役刑が言い渡された。追加の懲罰として、被告は「一級法務参事官」の階級を剥奪された。(被告は管理部門で長く働き、数年間は地方検察官を務めた)。被告はサハリンの公判前拘置所に送られたが、判決を不服として控訴していた。控訴審で、主な処罰に関する第一審の評決は支持されたが、追加の懲罰については控訴裁判所が取り消した。被告は「一級法務参事官」の階級を回復し、検察官年金を受け取るなどすべての恩恵を享受する機会が得られることになる。(赤い灯台テレグラム2024/4/22)

元副市長は2021年11月、地元の学校周辺の歩道建設工事を巡り、知り合いの建設会社社長と共謀し、当初25万3,000ルーブルだった工事費を17万7,000ルーブル水増しして約43万ルーブルとする契約書類を偽造した。建設会社の社長は、建設中だった元副市長の家の前払い金として、水増しした金の一部を受け取っていた。建設会社社長に罪を認め執行猶予付きの判決を受けた。(sakh.online 2024/4/24)