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貝殻島コンブ漁「臨検」366隻 ロシア厳格化、昨年の4.2倍

 北方領土貝殻島周辺で6月下旬から9月末まで行われたコンブ漁で、ロシア国境警備局による「臨検」を受けた日本漁船は昨年の4・2倍に当たる延べ366隻に上ったことが6日、分かった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う日ロ関係の悪化を背景に、ロシア側が例年よりも臨検を厳格化したためとみられる。(北海道新聞2022/10/7)

 臨検は、日ロ中間ラインのロシア主張水域側でロシア国境警備局が日本漁船に対し、操業承認書を点検するなどの行為を指す。

 ロシアとの交渉窓口を担う北海道水産会(札幌)や漁業者によると、拿捕(だほ)された漁船はなかったが、コンブ以外のものをとらないようコンブに付着した石や虫を取り除くように指示したり、乗組員の携帯電話内の写真を見せるよう要求してきたりしたという。

 今年の貝殻島コンブ漁は、日ロ間の交渉妥結が遅れた影響で、解禁日から3週間遅れの6月22日に始まり、昨年より操業日数は短かった。9月28日までに220隻が操業し水揚げ量は昨年並みの1660トン。

 貝殻島コンブ漁は、日本200カイリ内のサケ・マス流し網漁、安全操業、地先沖合漁業と並ぶ日ロ間の漁業協定の一つ。9月30日からは、安全操業のホッケ刺し網漁が北方領土国後島周辺で始まり、道水産会によると6日までに延べ17隻が「臨検」を受けている。

 ホッケ刺し網漁では昨年、12月末までの操業期間中に過去最多の延べ100隻が臨検を受け、漁港での競りに遅れる船が相次いだ。今年も「この状況が続けば今後の漁に影響が出るかもしれない」(漁業関係者)と心配する声が上がっている。(今井潤)