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国後島周辺ホッケ漁、出漁見送り 16日解禁、日ロ間の調整難航

 北方四島周辺水域での日本漁船による安全操業のうち、16日解禁の国後島周辺のホッケ刺し網漁について、同日の出漁が見送られる方向であることが分かった。ロシアによるウクライナ侵攻で、出漁に必要な日ロ間の調整手続きに時間がかかっているため。交渉の窓口を担う民間団体の北海道水産会(札幌)は月内の出漁を目指し、ロシア側と詰めの作業を急いでいる。(北海道新聞2022/9/13)

 安全操業は日本200カイリ内のサケ・マス流し網漁、貝殻島周辺のコンブ漁、地先沖合漁業と並ぶ日ロ間の漁業協定の一つ。四島の管轄権に触れず、資源保護協力金を支払う形で1998年に始まった。調整がまとまらず出漁できなくなれば安全操業開始以降初めて。

 今年の安全操業の条件は昨年12月に合意。1~3月の国後島周辺のスケソウダラ刺し網漁に続き、今月16日に同島周辺でのホッケ刺し網漁、10月16日に歯舞群島色丹島周辺でのタコ空釣り縄漁が解禁予定だった。ホッケ刺し網漁には羅臼漁協(根室管内羅臼町)所属の11隻が出漁を見込む。

 ロシア外務省は6月、安全操業の条件として求めるサハリン州との協力事業に関する援助金約1億5千万円が支払われていないとして、協定履行停止を表明。支払われるまで操業を認めないとした。日本が欧米各国とロシアへの制裁に足並みをそろえたことも背景にあるとみられる。

 日本政府は漁業者の権益を守るためサハリン援助金を支払う意向。北海道水産会も操業条件である協力金2130万円と機材供与としての2110万円の支払いに向けロシア漁業庁と調整を続けている。ただ金融制裁で送金手段が限られ、解禁日までにロシアへの送金や出漁に必要な操業指示書などの手配が間に合わない見通しだ。(今井潤)

(北海道ニュースuhb)