北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

北方領土問題「返還には皆の力必要」 長崎県の中学生ら、元島民の思い聞く

 ロシアが実効支配する国後島など北方領土の問題について学ぶため、長崎県の中学生らによる視察団が27日、北海道根室市北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」などを訪問。故郷への思いを語る元島民の声に耳を傾けた。(長崎新聞2022/7/28)

 視察事業は、独立行政法人北方領土問題対策協会」(東京)が2012年度から取り組む「北方領土青少年等現地視察支援事業」を活用し、県町村会などでつくる北方領土返還要求県民会議(会長・一瀬政太東波佐見町長)が企画。長崎、佐世保南島原3市の中学生17人や教員ら計25人が参加、26日に北海道入りした。

 同センターでは、北方領土歯舞群島勇留島で8歳まで過ごした角鹿泰司さん(85)=根室市=が講話。銃を持った旧ソ連兵が自宅に押しかけてきたことや、他の島民と小型船ですし詰めになって夜中に島を脱出したことなど当時の緊迫した状況を回顧。「二度とこんなことを経験してほしくない。(返還には)皆さんの力がどうしても必要」と訴えた。

 南島原市立深江中3年の井上拓真さん(14)は「故郷を返してほしいという思いを強く感じた。私たちが継承し、長崎でも取り組みについて発信したい」と感想を述べた。

 27日は根室港も訪問。ロシアによるウクライナ侵攻の影響などで見送られている北方四島との交流事業に代わる「洋上慰霊」に向かう元島民らを見送った。

 一行は29日まで滞在。国後島を一望できる羅臼町羅臼国後展望塔などを訪れる。