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元島民ら洋上慰霊 羅臼町と連盟支部、独自に初企画

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 千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)羅臼支部根室管内羅臼町は6日、北方領土の元島民や遺族が船上から先祖を供養する「洋上慰霊」を根室海峡の日ロ中間ライン近くで行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、北方四島での墓参が2年間行われていないため独自に開催した。船上には祭壇が設けられ、同管内羅臼、標津、中標津、別海の4町に住む元島民とその子や孫ら19人が手を合わせた。(北海道新聞夕刊2021/10/6)

 慰霊は観光船「エバーグリーン38」で行われ、自治体関係者ら19人も同行した。船は午前8時50分ごろ羅臼漁港を出港。同9時20分ごろ、国後島羅臼山を望む中間ライン手前に着くと、元島民らは羅臼山に向かい1分間黙とうし、僧侶の読経に合わせて焼香したり、手を合わせたりした。

 国後島・秩刈別(ちぶかりべつ)生まれの伊藤宏さん(86)=羅臼町=は「慰霊の機会ができて先祖も喜んでいると思う。(島で墓参できなかった)2年間は悔しい気持ちだった」と話した。

 色丹島チボイに住んでいた元島民2世、高橋利雄さん(70)=別海町=は「感染が落ち着いたら(四島での墓参を)再開してほしい。洋上慰霊はロシアに対し、返還を求める意思表示になったと思う」と語った。

 洋上慰霊は千島連盟別海町支部も9日に行う予定で、同根室支部は17日に納沙布岬北方領土物故者慰霊祭を行う。道によると、北方四島に上陸しての墓参は2019年9月、千島連盟による国後島への自由訪問を最後に行われていない。(田中華蓮)

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