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ロシア水域内サケ・マス漁 3年ぶり交渉開始 日ロ両政府

 日ロ両国は30日、ロシア200カイリ水域内での日本漁船によるサケ・マス引き網漁に関する今年の試験操業の条件を決める政府間交渉を始めた。ロシア水域でのサケ・マス漁は、2022年2月のウクライナ侵攻以降見送られており、交渉は21年以来3年ぶりとなる。(北海道新聞デジタル2024/5/30)

 非公開のウェブ会議形式で行い、漁獲枠やロシア側に支払う入漁料などを協議する。早ければ31日夜に妥結する見通し。妥結すれば、6月中旬にも富山県の漁船1隻が根室市の花咲港から出漁し、ベニザケやカラフトマスなどを漁獲する。

 水産庁は22、23年の交渉見送りについて「ウクライナ情勢を踏まえ、試験操業の緊急性や必要性から判断した」と説明。再開については「操業機会を確保するため」としている。

 ロシア水域でのサケ・マス漁は、1985年の日ソ漁業協力協定に基づくもので、外務省関係者も「(ロシア水域で)日本が漁をできる枠組みを残す意義は大きい」と話す。ウクライナ侵攻で日ロ関係の悪化後も、北方領土貝殻島周辺での日本漁船のコンブ漁などが行われている中、操業を見送り続ければ再開が難しくなりかねないとの懸念もあったとみられる。

 ロシア水域での試験操業は、ロシア側が16年から同水域で禁止したサケ・マス流し網漁の代替漁法として採算性などを確認するため、国の補助事業として同年に始まった。

 日本200カイリ水域でのサケ・マス流し網漁は、ウクライナ侵攻以降も続き、今年は3月14日に交渉が妥結。4月から根室市の小型漁船などが出漁している。

サケ・マス引き網漁の試験操業の漁船(2021年6月、根室市)※読売新聞オンライン