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北方領土・貝殻島周辺コンブ漁 日ロ間交渉スタート

 例年6月1日から解禁される北方領土貝殻島周辺のコンブ漁について、今年の操業条件を決める日ロ間交渉が16日に始まったことが分かった。日本側は例年通りのコンブ漁の出漁に向けた協議を進めたい考えで、早ければ17日夜に妥結される見通しだ。(北海道新聞2024/5/17)

 交渉の日本側窓口は民間団体の一般社団法人北海道水産会(札幌)。複数の関係者によると、道や政府関係者がメンバーに加わり、リモート会議方式でロシア側と交渉に入った。

 貝殻島コンブ漁の操業期間は例年6月1日~9月30日で、交渉は3~5月に妥結してきた。昨年の交渉は4月20日に始まり、21日夜に妥結した。

 今回の交渉では、日本側がロシア側に支払う採取料や操業隻数、コンブの採取量について協議する。

 貝殻島コンブ漁は、日本200カイリ水域内サケ・マス流し網漁や、地先沖合漁業、安全操業と並ぶ日ロ間の漁業協定の一つ。日本と旧ソ連の民間協定に基づき1963年に始まり、77~80年の中断をはさんで続けられている。

 日本が協力費を支払う日ロ双方の200カイリ水域内での地先沖合漁業交渉などは昨年も行われ、今年のサケ・マス流し網漁は例年とほぼ同じ時期で交渉が妥結した。

 一方、北方四島周辺で日本漁船がスケソウダラ漁などを行う安全操業の政府間協議は凍結したままとなっている。

歯舞漁協で行われた前浜コンブの生育調査

(北海道新聞釧路根室版2024/5/17)

 【根室根室市の歯舞漁協は16日、市内の太平洋側の前浜で採取したコンブの生育状況を調査をした。今年はコンブの着生が悪く、生育に遅れが見られた。例年、前浜の結果を北方領土貝殻島周辺のサオマエコンブ漁の操業見通しの参考にしており、今年も同時期に調査した。

 16日は6隻が根室半島太平洋側の前浜でコンブ約70本を採取し、漁協職員らが長さや重さなどを計測した。今年は生育にばらつきがみられ、長さもなかったという。3月下旬ごろまで長期間居座った流氷の影響でコンブが削られたとみられる。

 調査に参加した同漁協の井川一美昆布漁業部会長は「全体的に平年と比べるとコンブが成熟しておらず、生育が思わしくない。一部生育が良いところもあったが、ほとんどが悪く、生育がだいぶ遅れている」と話した。

 貝殻島コンブ漁の漁獲枠などは日ロの交渉で決まる。例年6月1日に解禁され、昨年は貝殻島コンブ漁に204隻が出漁した。根室市によると、昨年の生産量は前年182トンの約2.1倍の383トン、生産額は5億7300万円だった。

歯舞漁協で行われた前浜コンブの生育調査