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択捉―ウラジオ便、定期運航休止 9月再開予定も継続見通せず

 昨年12月に就航した北方領土択捉島―ロシア極東ウラジオストク間の定期航空便が、運航を休止している。北方四島サハリン州以外を結ぶ初めての定期便として、関係者からは四島開発の促進に期待の声が出ていたが、需要の低迷で機体が他路線に振り返られ、夏場の観光シーズンも休止が続く見通し。州政府は9月に再開予定としているが定期運航できるかは不透明だ。(北海道新聞デジタル2024/6/26)

 定期便はサハリン州の州都ユジノサハリンスクを拠点にするオーロラ航空が、連邦政府補助金を受けて週1往復で運航を開始。片道2千~5640ルーブル(約3600~1万円)と安価な料金設定で、大陸からの観光客誘致や中国からの投資拡大を狙っていた。

 同社は休止を公表していないが、択捉島とウラジオの両空港の運航案内からは削除されている。四島関係者によると、2月ごろに島の吹雪のため2回連続で欠航。直後の便も乗客定員70人に対し航空券が5枚程度しか売れず運航を取りやめ、そのまま休止したという。島民の一人は「安定して飛ばないのでみんな関心を失った」と話した。

 一方、オーロラ航空が運航する択捉、国後両島とユジノサハリンスクを結ぶ定期便は、地元客の利用も多く、キャンセル待ちが相次ぐ。同社はこれらの「ドル箱」航路を夏場に増便するため「もうけが出ないウラジオストク便をやめて機材を確保している」(四島関係者)とみられる。

 サハリン州のリマレンコ知事は21日、市民との対話で「9月に再開する」と述べたが、観光のピークを過ぎた時期に再開しても、需要は再び低迷する可能性がある。

択捉島からウラジオストクへの定期便の初飛行を前にヤースヌイ空港に駐機されたオーロラ航空所有のボンバルディアDHC8-Q400機(クリール地区行政府テレグラムより)