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<四島ウオッチ>ネット通販、相次いで引き渡し拠点

 衣類や家電製品など、多種多様な商品を購入し配送を受けられるインターネット通販サイトのロシア企業が、商品の引き渡し拠点を北方領土に相次いで開設している。

 昨年秋から今年1月にかけて、大手の「オゾン」が国後島古釜布と色丹島穴澗に、5月には同じく大手の「ワイルドベリーズ」が古釜布に開設。北方四島関係者によると、同社は穴澗にも近く設ける予定だという。

 両社のサイトは常に数百万点超の商品が取引される、いわば「Amazon」や「楽天市場」のロシア版。ただ四島は、サイト内を数回クリックするだけで自宅まで商品が届く利便性とは、まだまだ無縁の世界だ。

 物流が発展途上の四島は各戸配送の体制がない。宅配物は郵便局に届き、住民が受け取りに行くのが一般的。港の貨物船まで出向くこともある。

 オゾンなどの拠点は、住民に受取場所の選択肢を増やすだけでなく、その場で商品を開封でき、試着や返品にも対応。買い物環境の改善は一歩進んだとも言える。

 ただ、島への物流を担う貨物船は荒天での欠航が多く、商品の到着に1カ月を要すこともある。オゾンなどは「送料無料」をうたうが、届け先の場所によって売値が変わる仕組みで、都市部に比べ四島は割高になる。ある島の住民は「ネットを利用せず、夏休みにモスクワで大量に買い込む人も多い」と話した。(北海道新聞デジタル2024/6/28)

国後島古釜布に開設された、ロシア大手インターネット通販サイト「オゾン」(左)と「ワイルドベリーズ」(右)の商品引き渡し拠点(四島関係者提供)