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日ロ交流の重要性強調 前駐ロ大使・上月氏が札幌で講演

 昨年まで約8年間にわたり駐ロシア大使を務めた上月(こうづき)豊久氏が27日、札幌市中央区で行われた日ロ関係に関するセミナーで講演した。2022年に開始したウクライナ侵攻以降、ロシアが内向きで保守的な傾向を強めていると指摘し「日本が対ロ交流のドアを閉ざせば、ロシアの政策を助けることになる」と日ロ交流の重要性を強調した。(北海道新聞2024/4/28)

 上月氏は15年から昨年12月まで、戦後の日本の駐ロ大使としては最長の約8年間在任した。セミナーを主催した千島歯舞諸島居住者連盟(札幌市)によると、上月氏が帰国後、公の場で日ロ関係について語るのは初めてという。

 上月氏は日本や欧米が侵攻を非難して科している対ロ制裁について、ロシアの徹底したインフレ抑止策や食糧自給の向上などで「効果を発揮していない」と分析。一方、言論統制や軍国教育が強まり「根本的に内向きな社会に変化した」と語った。

 会場から、ロシアが実効支配する北方領土周辺での外国船舶の航行を認めない措置を発令したことに関して問われると、一般論とした上で、日米とウクライナの関係を「何とか邪魔できないかと思ってカードを見せているのではないか」と見解を示した。

ロシアのウクライナ侵攻などについて講演する前駐ロシア大使の上月豊久氏