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ロシア政府、北方四島周辺の航行停止再延長 5月15日まで 日本政府抗議

 ロシア政府が27日、実効支配する北方四島の周辺海域などでロシア船籍以外の船舶の航行を認めない措置を5月15日まで再延長すると日本政府に通知したことが分かった。今月上旬に措置が出されて以降、延長は2回目。目的は不明だが、海上保安庁によると近年、ロシア側が四島周辺で航行停止の措置を出した例はなく、異例の事態となる。日本政府は北方領土は「日本固有の領土」だとして改めて抗議し、ロシア側の意図を分析している。(北海道新聞2024/4/28)

 国際法上、他国の領海を自由に通航できる「無害通航権」が認められているが、ロシア当局は今月上旬、11~17日に四島や千島列島付近の海域で外国の公船、軍艦の無害通航権を停止すると日本側に通知。16日には27日までの延長を通告してきた。

 同庁によると、27日午前11時ごろ、同日午後9時~5月15日午後9時まで延長すると連絡があった。延長理由の説明はなかったという。日本政府はロシアによる四島の実効支配を認めておらず、ロシア側の措置は「受け入れられない」と既に抗議している。

 これまでのところ日本の船舶に特に影響は出ていないとみられる。歯舞群島貝殻島周辺では例年6月から日本漁船によるコンブ漁が行われているが、同庁関係者は「漁船は航行停止の対象には含まれないと理解している」と話す。

 ただ、同庁によると、記録が残る2019年以降、四島周辺海域でロシア側が無害通航権を停止した例はない。外務省関係者も「四島周辺海域でロシア側が航行停止措置を出したことは聞いたことがない」とした上で、「何らかの狙いがあるとは思うが意図は分からない」と話し、ロシア側の動きを警戒している。

根室半島上空から望む北方領土。手前から納沙布岬歯舞群島水晶島志発島多楽島、雪化粧した色丹島=2016年11月(本社ヘリから)