北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

日本人墓地、四島に52カ所 詳細わからない場所も<北方領土の日特集~墓参60年のいま>

 千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)によると、北方四島には日本人の遺骨が埋葬された墓地が52カ所ある。元島民らは2019年までの墓参や自由訪問の際に慰霊を続けてきたが、ロシア軍施設などに隣接するため立ち入り制限があるエリアも多く、詳しい情報が得られていない場所もある。(北海道新聞デジタル2024/2/7)

■遺骨4700柱が埋葬

 日本人墓地が最も多いのは国後島の18カ所。続いて択捉島17カ所、歯舞群島9カ所、色丹島8カ所。埋葬されている遺骨は4700柱余りにのぼるとみられ、最大規模は国後島の泊墓地(地図⑱)の約600柱とされる。

■進む風化、30カ所は場所不明確

 千島連盟は1964年からの墓参や、自由訪問の際の墓地への立ち寄りなどの際に得た現地の情報を蓄積。97年から3年間の書面調査や現地調査などを基に2018年度まで3回に分けて各墓地の様子などを整理した「北方四島墓地・元居住地概要調査報告書」を刊行している。

 報告書によると、墓地周辺は地形や植生の変化、風化などが進んでいるものも目立つ。元島民らの記憶や記録と墓地の位置が適合しないなどの理由で、現在は位置が明確ではない墓地は30カ所に上る。このうち多くは近隣の別の場所に墓地の存在を示す標柱を建てて、慰霊の対象にしている。

■墓石が見つからない場所も

 国後島中部のニキシロ墓地(地図㉘)は1999年に現地調査が行われたが、墓石などが見つからず、標柱も設置されていない唯一の墓地。その後、立ち入り制限がかかっており、墓参の際は近隣に一時的な木製の卒塔婆を建てるなどして慰霊してきた。

 色丹島北部の斜古丹には、周辺に点在していた千島アイヌの墓を集約した「クリール人墓地(地図㊲)」も設置されている。(松本創一)