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陸揚庫紹介の動画、北方領土コンテスト入賞 根室・鈴木さん作成「認知度向上のきっかけに」

 【根室】本年度の北方領土動画コンテスト(道主催)で、根室市の地域おこし協力隊の鈴木康史さん(39)が作成した動画が入賞した。終戦まで北方領土国後島根室を結んだ電信用の海底ケーブルの中継施設「陸揚庫(りくあげこ)」(市西浜町)を紹介する内容で、この施設を題材にした動画が入賞するのは初めて。7日の「北方領土の日」を迎え、鈴木さんは「陸揚庫の認知度向上のきっかけになればうれしい」と喜ぶ。(北海道新聞根室版2024/2/7)

 若い世代への発信力強化を目的に、2021年度から毎年開催している同コンテスト。今回は全国から53点の応募があった。「陸揚庫を知ろう」と題した鈴木さんの作品は、昨年9月の陸揚庫の見学会(市主催)の様子を収めており、普段公開されていない建物内部も撮影し、約1分にまとめた。

 陸揚庫は1929年(昭和4年)に建てられ、鉄筋コンクリート造り。終戦直後の旧ソ連軍による国後島上陸など、侵攻の様子や住民の混乱などが海底電信線を通じて陸揚庫経由で根室支庁に届いた。動画ではこうした歴史的役割を字幕で説明しながら、2021年に北方領土関連の建造物として初めて国の登録有形文化財に登録されたことなども紹介。佳作5作品の一つに選ばれた。

 千葉県出身の鈴木さんは、根室の魅力を発信する地域おこし協力隊として22年9月に着任後、陸揚庫の存在を知った。「旧ソ連侵攻の切迫した状況を伝えた建物が今も市内に残っていることがすごい」との驚きから、その魅力を広めようと応募を決めた。

 現在は、市による建物保存事業も行われている。鈴木さんは「陸揚庫が根室の有名な観光地の一つとなるよう、建物の存在を伝える動画を今後も作り、発信していきたい」と語る。

 コンテストではこのほか、札幌の八太真央さんの動画を最優秀賞に選出。「みんなは…北方領土って知ってる?」と題し、ネコのオリジナルアニメキャラクターが四島の名前を紹介している。優秀賞には「土地はまだ取り戻せるが、失った時間は戻ってこない」と呼びかける愛媛県の川北輝さんの「何度でも」など3点を選んだ。

 奨励賞(9点)以上の入賞作品18点は、動画サイト「ユーチューブ」の道北方領土対策本部のチャンネルで公開している。(川口大地)

令和5年度(2023年度)北方領土動画コンテスト 佳作 北海道根室市 鈴木 康史さんの作品 「陸揚庫を知ろう」 - YouTube