北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

陸揚庫を残そう 北方四島と本土直結 中標津で歴史的価値を知る講演会

 【中標津終戦まで北方領土国後島根室を結んだ電信用の海底ケーブルの中継施設「陸揚庫(りくあげこ)」の歴史的価値などを解説する講演会が6月29日、町総合文化会館で開かれた。講師を務めた根室市の谷内紀夫北方領土対策専門員=国後島元島民2世=は「陸揚庫は日本人が北方領土に住んでいたことを示す証しで、将来に残していくことが重要だ」と説明した。(北海道新聞根室版2023/7/7)

 町文化スポーツ振興財団の主催で22人が参加した。谷内氏は陸揚庫PR動画を公開し、終戦後の旧ソ連軍による北方領土侵攻の実態は、電信線を通り陸揚庫を介して本土に伝わった経緯などを解説した。

 根室市による保存活動の意義も説明した。谷内氏は、1月に択捉島に残っていた旧紗那(しゃな)国民学校の校舎が全焼するなど、日本人が四島で建てた建物が数少なくなっていると指摘。その上で、返還運動の観点からも「本土側に残っている(北方領土関連の)遺産をきちんとした形で残す取り組みを急ぐ必要がある」と強調した。(川口大地)