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陸揚庫「歴史伝える施設も必要」 根室で専門家がシンポジウム 保存法や活用議論

 終戦直後まで根室北方領土国後島をつないだ海底電信線の中継施設「陸揚(りくあげ)庫」に関するシンポジウムが21日、市内で行われた。市の専門家会議の委員4人が、陸揚庫の具体的な保存や活用の方法について市民を前に議論した。(北海道新聞釧路根室版2023/1/23)

 市の主催で、約60人が参加した。市は保存方法について「国後島を望む場所にあり、視覚的に根室と四島のつながりを体感できる現在の立地と景観を重視してほしい」と強調。委員は市が20日に提示した透明な建築物(覆屋)で囲う案、薬剤などで現状を維持する案、補修して復元する案の3案についてそれぞれの考えを示した。「保存を第一にしながら、北方領土問題の時間的経過を伝えられる」などと、覆屋で囲う案を推す意見が多く上がった。

 委員は保存後の活用方法についても議論。北海道博物館学芸員の右代啓視委員は「陸揚庫の歴史を理解できるガイダンス施設も必要」と指摘した。終戦直後に海底電信線を使って四島から送られた、旧ソ連の侵攻を伝える電報を展示する案や、陸揚庫の語り部を育成する案なども示された。

 専門家会議は3月に年度内最後の会合を開き、保存に向けた方向性を提示する。(武藤里美)