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「故郷返して」元島民が講話 羅臼で「北方領土復帰促進集会」 根室市外で初

 【羅臼】第54回北方領土復帰促進婦人・青年交流集会が、根室管内で開かれている。これまでは根室市内で開催したが、問題意識を共有するため、初めて羅臼町などを訪問。初日の15日は道内外の45人が、羅臼国後展望塔を見学して元島民の講話に耳を傾けた。16日は標津、別海両町を訪れ、観光船による北方領土視察などを行った。(北海道新聞釧路根室版2023/7/17)

 交流集会は領土返還に向けた機運を高めるため1970年から実施。全国女性団体連絡協議会と日本青年団協議会などが共催した。

 15日は雲に覆われ、展望塔から国後島は見えなかったが、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)羅臼支部の鈴木日出男支部長や湊屋稔町長らが出迎え、島の位置などを説明した。

 その後、歯舞群島多楽島出身の高岡唯一さん(88)による講話が羅臼小で行われた。島での暮らしや、終戦後に土足で家に押し入った旧ソ連兵に仏壇を荒らされた経験などを話し、「当時のことは一生忘れられない。『大事な故郷を返してくれ』という声を一人でも多くの人に知ってもらいたいから、語り部を続けている」と強調した。

 全国女性団体連絡協議会の桜井よう子会長(81)は「現実にあった話を聞けて良かった。問題点を掘り下げ、次の世代につなげる意識を国民全体で持つことが大切」と話した。日本青年団協議会の中園謙二会長(43)は「元島民は考えられないような経験をされており、つらい気持ちになる。僕らがしっかりと受け止めなければ」と述べた。

 最終日の17日は、根室市納沙布岬北方領土資料館を視察する。(小野田伝治郎)

青年団・女性団体が北方領土元島民の話を聞く|NHK 北海道のニュース