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<四島ウオッチ>観光客増加でごみ問題深刻化

 夏になり島民の活動が活発化してきた北方領土で、ごみの散乱や投棄が目立っている。 北方四島各地で開かれたロシアの「漁師の日」を祝うイベントから一夜明けた10日、通信アプリ「テレグラム」で色丹島の話題をとりあげるチャンネルが一つの動画を投稿した。人が去った会場に散乱する大量の使い捨て皿や倒れたテーブルなどが映っており、投稿には「きっと今日中にきれいにしてくれるだろう」と皮肉のメッセージが添えられた。(北海道新聞2023/7/13)

 択捉島の地元紙「赤い灯台」も6月下旬、波止場公園のゴミ箱があふれ、壊れた自転車や廃材が放置された写真を通信アプリに投稿。あまりのごみの散乱ぶりに、取り組んできたボランティア清掃をやめてしまった住民の嘆きの声を紹介した。

 四島の「ごみ問題」は長年の課題だが、悪化を加速させているとみられるのが観光客の増加。近年、地元政府などが誘客に力を入れているほか、ウクライナ侵攻下で海外を避け国内を旅行するロシア人が増えたことも背景にありそうだ。

 四島では近代的なごみ焼却施設がなく、多くのごみが空き地などにそのまま埋められる状況が続いてきた。四島を事実上管轄するサハリン州政府は、対策として資源ごみの分別収集に着手。今年から択捉、国後両島の市街地に分別用コンテナを導入する予定だが、「まだどこにも見当たらない」とロシア人島民は話す。

 あふれるごみは、美しい島の自然やイメージを損ねかねない。(本紙取材班)