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「2島先行返還」最多39%「四島返還」は22% 領土問題世論調査 

 北海道新聞社は、北方領土問題と日ロ関係について、全道と根室管内1市4町の有権者を対象に電話世論調査を5月下旬に実施した。最適と考える北方領土問題の解決策では、歯舞群島色丹島を先に返還し、国後、択捉両島は継続協議とする「2島先行返還」が最多の39%で19年の前回調査から3ポイント減った一方、「四島返還」は6ポイント増の22%だった。(北海道新聞2022/6/11)

 北方領土交渉を巡り、安倍晋三元首相は2018年11月の日ロ首脳会談で、歯舞、色丹両島の日本への引き渡しを明記した日ソ共同宣言を基礎として、四島返還から2島返還を軸とした交渉に転換。国後、択捉両島では共同経済活動などの実現を目指した。しかし、交渉は進展せず、岸田文雄首相は今月1日、日ロ関係の悪化を受け、四島返還を目指す方針を明言した。

 調査では、安倍政権が目指した「歯舞、色丹の2島返還を実現し、残る2島は共同経済活動や自由な往来を実現する」方針への支持は、23%にとどまった。このほかの解決策は「歯舞、色丹の2島を返還し、残り2島はロシアで決着」「島の返還は必要ない」が、いずれも4%だった。

 元島民が多い根室管内で実施した調査でも「2島先行返還」が38%で最も多く、全道とほぼ同じ傾向だった。四島返還は23%、安倍政権が進めた「2島返還プラス共同経済活動」は21%、「島の返還の必要はない」は5%だった。

 北方領土問題への関心については「大いに」と「ある程度」を合わせた「関心がある」は全道で84%、根室は85%だった。ただ、同じ質問をした16年9月の調査との比較で、「大いに関心がある」が根室では42%から38%に4ポイント減ったのに対し、全道では39%から27%へと12ポイント減少。根室管内と全道の関心度に大きな開きが生じている。

<調査の方法>北海道新聞社が北海道新聞HotMediaに委託し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話する方法で18歳以上を対象に行った。全道調査は5月27~29日に実施し、実際に有権者がいる世帯にかかったのは678件で、うち507人から回答を得た。根室管内は5月24~26日に実施し、電話がかかった556件のうち、402人から回答を得た。数値は小数点以下を四捨五入した。