北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

北方領土の引き渡しを求める千島連盟「好ましくない団体」 ロシア最高検が決定

ロシアの最高検察庁は、クリル諸島(※この場合、北方四島)の返還を要求している日本の組織「チシマ・ハボマイ諸島の住民の連合」(※公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟)の活動を、ロシアにとって望ましくないものとして認める決定を下した。最高検は、外国の非政府組織「チシマ・ハボマイ諸島の住民の連合」(日本)の活動は、ロシアの領土保全を侵害することを目的としており、憲法秩序と国の安全に脅威をもたらすと判断した。報告書によると、この組織の目的は、ロシアの領土の一部を奪取することであるという。「この団体は長い間、ロシアについて否定的な意見を形成しており、日本での反ロシア感情の高まりの中で、クリル諸島周辺の状況を不安定化させるリスクを高めている」と当局は説明した。この決定に関する情報はロシアの司法省に送られた。(sakh online 2023/4/22)

ロシア最高検「好ましからざる団体」に千島歯舞諸島居住者連盟

(NHK 2023/4/22)

 ロシアの最高検察庁は、北方領土の元島民などでつくる千島歯舞諸島居住者連盟を「好ましからざる団体」に指定したと発表しました。ロシアはウクライナへの軍事侵攻に対する日本政府の制裁措置に反発していて、日本側への圧力を強める一環とみられます。

 ロシアの最高検察庁は21日、公式サイトで北方領土の元島民などでつくる千島歯舞諸島居住者連盟について「ロシアの憲法秩序と安全保障の基盤を脅かしている」などと非難しました。

 そして「活動の目的は、ロシアの領土の一部を奪取することだ」と主張し、「好ましからざる団体」に指定したと発表しました。

 ロシアの国営通信社は「好ましからざる団体」に指定されると、「ロシア国内に団体の支部を置くことや資金の移動ができなくなるほか、関係者の入国が制限される」などと伝えていて、団体は、ロシア国内での活動が事実上禁止されるとしています。

 ロシアは、ウクライナへの軍事侵攻に対する日本政府の制裁措置に反発して、北方領土問題を含む平和条約交渉を中断すると一方的に表明したほか、元島民らによる「ビザなし交流」や「自由訪問」についても日本との合意を破棄したと発表していて、今回の措置も日本側への圧力を強める一環とみられます。

ロシア、千島連盟の国内活動禁止 「望ましくない団体」指定 四島墓参の参加困難か

(北海道新聞2023/4/21)

 ロシア最高検察庁は21日、北方領土の元島民らでつくる日本の「千島歯舞諸島居住者連盟」(千島連盟、札幌)をロシア法に基づく「望ましくない団体」に指定したと発表した。千島連盟は今後、ロシア国内での活動が事実上禁止される。ロシアのウクライナ侵攻を巡り、対ロ制裁を発動した日本への対抗措置とみられる。元島民らが早期再開を求める北方領土墓参への参加も困難になる可能性がある。

 最高検は指定理由について「千島連盟の活動がロシアの領土保全を侵害し、ロシアの憲法秩序と安全を脅かしている」と説明。同連盟が取り組んできた返還運動は「ロシアから領土の一部を切り離すことが目的であり、日本国内で反ロシア的な雰囲気を醸成し、クリール諸島(北方領土と千島列島)周辺の情勢不安定化のリスクを高めてきた」と一方的に指摘した。

 ロシアは2020年7月に発効した改正憲法に「領土の割譲禁止」を明記した。昨年5月に日本への対抗措置として、岸田文雄首相ら日本人63人の入国を禁止した際には、千島連盟の脇紀美夫理事長ら返還運動関係者も含まれた。

 千島連盟は北方領土の返還要求運動で中心的な役割を担い、元島民やその家族が北方四島を訪れる墓参や自由訪問などの実施にも深く関わってきた。ロシア側は日ロ関係が悪化した昨年2月のウクライナ侵攻後も墓参の枠組み自体を維持しているが、ロシア最高検の今回の指定は、日ロ外交当局間の協議にも影響する恐れがある。(渡辺玲男)

<ことば>千島歯舞諸島居住者連盟 北方領土の早期返還や元島民の援護の充実などを図るため、1958年に元島民や後継者らで設立された公益社団法人北方四島ビザなし渡航事業のうち、元島民とその家族が北方領土の居住地跡を訪れる「自由訪問」を実施してきたほか、領土返還要求の署名運動や「語り部」の育成などに取り組んでいる。会員数は昨年3月末現在で2988人。同連盟によると、終戦時に1万7291人だった北方領土の元島民は今年3月末には5296人まで減少。平均年齢は87・5歳に達しており、北方領土墓参の再開を強く求めていた。