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ホッケ漁、臨検2.5倍259隻 国後周辺の安全操業 羅臼

 北方領土国後島周辺海域で、羅臼漁協(根室管内羅臼町)所属のホッケ刺し網漁船9隻が行ってきた今季の安全操業が24日で終了した。ロシア国境警備局が船内に乗り込み、書類点検などを行う「臨検」は延べ259隻が受け、最多を記録した昨年の約2・5倍となった。(北海道新聞電子版2022/12/26)

 臨検は2019年に30隻だったが、20年に98隻、21年に100隻と年々増えている。今年のホッケ漁は9月30日に操業開始。ウクライナ侵攻に伴う日ロ関係悪化が臨検に与えた影響ついて、根室振興局水産課は「増加の理由は分からない」としている。

 漁獲高はスケソウダラやマダラなどの混獲枠を含め、前年比15%減の6200万円。安全操業全体の漁獲枠(1060トン)に対する漁獲量の割合(消化率)は29%の304トンで、前年の消化率45%を下回った。

 魚種別の漁獲量はホッケ155トン(消化率20%)、スケソウダラ65トン(同62%)、マダラ50トン(同72%)など。羅臼漁協の木野本伸之専務理事は「単価は良かったが、資源状況が厳しく、数量が少なかった。臨検は頻繁に行われたが、大きなトラブルなく終えられて良かった」と話した。

 安全操業は、日ロ両政府の合意に基づき1998年から実施。北方四島の主権に触れない形でロシア側に資源保護協力費などを払っている。(森朱里)

資料写真 日本漁船の臨検に向かう国境警備局のボート(2019年)