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国後「亡命」男性、政府上陸認めず ロシア側に引き渡しへ

 北方領土国後島から来たというロシア人男性が根室管内標津町で保護された問題で、日本政府が難民に該当しないとして、特例的に上陸を認める「一時庇護(ひご)のための上陸」を不許可としたことが28日、政府関係者への取材で分かった。北方四島を事実上管轄するロシア・サハリン州の一部メディアは同日、札幌出入国在留管理局(札幌入管)が来週、男性を在札幌ロシア総領事館に引き渡すことに同意したと報じた。(北海道新聞2021/8/29)

 日ロ両政府の関係者によると、男性はロシア中部イジェフスク出身で38歳。3年前に国後島泊(ゴロブニノ)近郊に移住した。19日夕に標津町にいるところを住民が発見し、道警に保護された。男性は「国後島から泳いできた。日本に亡命したい」と話し、一時庇護を申請。札幌入管が詳しい経緯などを調べていた。

 上川陽子法相は27日の記者会見で、個別事案については答えないとした上で、「申請内容を審査した上で難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定するのが基本だ」と説明。日本は北方四島を「固有の領土」としているため、男性は国内を移動したにすぎないが、政府は男性をロシアから国後島に不法入国した外国人として扱った上、難民に該当しないと判断したとみられる。

 地元メディアは、早ければ9月2日にもサハリン州に移送される可能性があると報道。ただ、総領事館の関係者は、男性とまだ面会できていないという。(ユジノサハリンスク 仁科裕章、報道センター 村上辰徳)

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