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国後から来たロシア人は「不法入国」 強制送還へ

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国後島から北海道に渡り、亡命を求めたとされるロシア人について、日本の当局は難民として認定せず、さらなる調査のため身柄を拘留した。難民に認定しなかった理由は、ロシア人男性がロシアの他の地域から国後島に来ており、必要な書類がないまま不法に日本に入国した外国人とみなしたためと考えられる。日本の立場からすると、クリル諸島(北方四島)から北海道に移動することは何ら問題ない。(サハリン・インフォ2021/8/29)

 

国後島の居住者は日本への不法入国で拘留された

8月29日、札幌のロシア総領事館は、国後島から亡命を求めて北海道に渡ったロシア人男性について、日本がロシア市民を拘留したことを公式に通知したと発表した。リア・ノーボスチによると、男性は不法入国したため拘留されたと報じた。日本の当局は、男性がどのようにして日本に入ったかを正確に把握している。ロシア総領事館は、不法入国で拘留された場合、国外追放されると付け加えた。(astv.ru 2021/8/29)

 

国後「亡命」男性、政府上陸認めず 不法入国と判断か

(北海道新聞2021/8/29)

 北方領土国後島から来たというロシア人男性が根室管内標津町で保護された問題で、日本政府が難民に該当しないとして、特例的に上陸を認める「一時庇護(ひご)のための上陸」を不許可としたことが、政府関係者への取材で分かった。男性は入管施設に収容されたという。国営ロシア通信は29日、在札幌ロシア総領事館関係者の話として、男性が不法入国で拘束され、どのように日本に渡航したかの調査が続いていると伝えた。

 日ロ両政府の関係者によると、男性はロシア中部イジェフスク出身で38歳。3年前に国後島泊(ゴロブニノ)近郊に移住した。19日夕に標津町にいるところを住民が発見し、道警に保護された。男性は「国後島から泳いできた。日本に亡命したい」と話し、一時庇護を申請。札幌出入国在留管理局(札幌入管)が詳しい経緯などを調べていた。

 上川陽子法相は27日の記者会見で、個別事案については答えないとした上で「申請内容を審査した上で難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定するのが基本だ」と説明。日本は北方四島を「固有の領土」としているため、男性は国内を移動したにすぎないが、政府は男性をロシアから国後島を経て不法入国した外国人として扱った上、難民に該当しないと判断したとみられる。

 四島を事実上管轄するサハリン州の一部メディアは28日、札幌入管が来週、男性を在札幌ロシア総領事館に引き渡すことに同意し、9月2日にも同州に移送される可能性があると報道。しかし、国営タス通信によると、同領事館関係者は29日、こうした情報を確認していないとした。(ユジノサハリンスク 仁科裕章、報道センター 村上辰徳)