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北方領土で共生の時代 実話基に ロシア人が小説出版へ

 戦後、旧ソビエトに占領された北方領土で日本人と旧ソビエトの人が共に暮らしていた時代を、実話を基に描いた小説がロシア人によって出版されることになりました。

 今回、出版されるのはロシア人の脚本家でペンネーム、マイケル・ヤングさんが書いた「舟 北方領土で起きた日本人とロシア人の物語」という小説です。

この小説は、旧ソビエトによる占領後も日本人と旧ソビエトの人が共に暮らす状態が続いていた1947年の歯舞群島志発島が主な舞台となっています。

 日本人が島から強制退去させられる日、箱舟で沖に流されてしまった旧ソビエトの子どもたちを助けるため、日本人の漁師が退去の時間が迫る中、家族と離ればなれになることを覚悟で島にとどまり、救出に向かうというストーリーです。

 これは、ヤングさんがロシア人の友人から母親の幼少期の体験として聞いた実話が基になっていて、友人の母親は「助けてくれた日本人にお礼が言いたいので、探してほしい」と話していたということです。

 北方領土に詳しい関係者によりますと、両国の住民が共に暮らしていた時代についての日本人の証言は多くありますが、ロシア人による証言は珍しいということです。

この小説は来月10日から全国の書店で販売される予定です。

小説を書いたマイケル・ヤングさんは27日午後、出版を前にオンラインで会見を開きました。

 ヤングさんは「これは2つの民族が互いを思いやる物語だ。日ロが厳しい関係のときこそ、このような小説を読むことが大切になると思う。たくさんの人に手に取って読んでもらえることを心から望んでいる」と話していました。

 ヤングさんはまだ日本を訪れたことはないものの近く訪れたいとも話していて、将来的に、この小説の映画化も目指しているということです。(北海道 NEWS WEB 2024/6/27)

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