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国後望む洋上で元島民ら祈り 千島連盟別海町支部が慰霊

 【別海】千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)別海町支部は14日、根室海峡の日ロ中間ライン付近で独自の洋上慰霊を行った。北方領土の元島民と2、3世ら40~80代の17人が尾岱沼漁港から観光船に乗り、天候に恵まれた中で国後島を望み、祖先の冥福を祈った。(北海道新聞釧路根室版2023/10/15)

 墓参を含むビザなし渡航は、日ロ関係悪化などで中断が続いている。同支部は元島民の思いに応え、領土返還に向けた世論喚起のため、2021年10月に洋上慰霊を初実施し、今回で2度目。7日に予定したが、しけで1週間延期した。

 出発式で歯舞群島志発島出身の臼田誠治支部長(84)は「1メートルでも近くで墓参したいという、元島民の強い思いに応える」と述べた。船は午前11時すぎに出港し、50分ほどで国後島南部のケラムイ崎が見える場所に到着。参加者は黙とうし、「また来るよ」と声をかけ、海に花をささげた。

 一行は午後1時ごろ帰港。国後島泊村出身の武井由昭さん(80)は「長い間、ご苦労さまでしたと伝えました。国後島がよく見えました。生まれ故郷は昔と変わっていませんでした」と話した。(森朱里)