北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

北方四島の島影、祖先に思い 千島連盟根室支部、納沙布岬で慰霊祭

f:id:moto-tomin2sei:20211018082732j:plain

 北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の根室支部は17日、根室市納沙布岬で物故者慰霊祭を開いた。新型コロナウイルスの影響で北方領土へのビザなし渡航が2年連続で全面中止となり、墓参の機会がなくなったため初めて行った。参加者は本土最東端の岬から、祖先が眠る北方四島に向かって手を合わせた。(北海道新聞全道版2021/10/17)

 強風に見舞われ、岬にある市北方領土資料館内に祭壇を設け、元島民21人を含む72人が参加した。根室支部の宮谷内(みやうち)亮一支部長(78)=国後島出身=が「(2年連続のビザなし中止で)つらい気持ちのやり場がない。古里に眠る父祖、肉親も(墓参を)どんなに待ち望んでいるかと思うと心が痛む。どうぞ安らかにお休みください」と追悼の辞を述べると、参加者は読経に合わせて1人ずつ焼香した。

 その後、潮風が冷たい屋外に出て、目の前に浮かぶ歯舞群島国後島の島影に向かって全員で合掌した。国後島にきょうだいが眠る同島出身の矢萩トクさん(83)は「みんなで手を合わせられたのはありがたい。島にもう一度行って、故郷の砂浜を踏みしめたい」と古里への思いを募らせた。

 式典後、宮谷内支部長は「納沙布岬での慰霊を恒常的な行事にしてはいけない。来年は渡航を再開できるよう、政府に求めたい」と強調した。(武藤里美)

f:id:moto-tomin2sei:20211018082809j:plain