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北方領土「ビザなし交流」終了発表で…北海道の次に多い富山県内の元島民ふるさとへの思いは

ロシア政府は6日、北方領土をめぐる日本との「ビザなし交流」などを定めた協定を終了すると発表しました。北方領土からの引揚者が北海道に次いで全国で2番目に多い富山ですが、県内の元島民に今の思いを取材しました。(チューリップテレビ2022/9/8)

歯舞群島水晶島出身 吉田義久さん:

「ロシアなんかは、獲ったら自分のもので一歩も譲らないという気持ちなんですよね。これは国と国との争いだから私個人が何を言っても仕方のないことですけどね」

こう語るのは、8歳まで歯舞群島のひとつ、水晶島に住んでいた吉田義久さん(85)です。

吉田義久さん:

「やはり私たちのふるさとなんだから一生忘れられないし、忘れることはできないし、本当に草一本一本が私たちの思い出になっていますので簡単にはあきらめられない。私たちからすれば昔からのふるさとですから、一日でも早く円満に解決してほしいと思います」

元島民らがパスポートやビザなしで北方領土に行き、故郷を訪れることができる「ビザなし交流」や「自由訪問」。

ロシア政府は6日、これらに関する日本とロシアの間の合意を一方的に破棄し、協定を終了すると発表しました。ウクライナ侵攻をめぐる日本側の制裁に対し停止されていましたが、今回の決定で再開は見通せなくなりました。ロシア政府のこの発表を受け、吉田さんは改めて生まれ育ったふるさとに対する思いを語りました。

吉田義久さん:

「当時の生活。子どもは子どもなりの生活とか遊びとか。そういうふうなことを一つ一つ今でも思い出しますね」

富山湾の風景からふるさとの景色が思い起こされるといいます。

記者:

水晶島からの眺めと似ている?」

吉田義久さん:

「そうそう、似ていないけど似ているように思うんです。ちょうど水晶から国後見ているようなもんで、能登半島の山が、あまり高くない山があるでしょ。ああ国後があそこにあるなってそんなふうに想像しながら見てます」

ビザなし交流などで幾度となく北方領土を訪れてきた吉田さん。しかし、今回のロシア側の一方的な対応で、ふるさとは遠のいてしまいました。

歯舞群島水晶島出身 吉田義久さん:

「やっぱりもう一度、一回島へ上陸して、ゆっくりと自分の住んでいた島を見てきたいなと思います。何もない島だけれどもやっぱりふるさとなんです」