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択捉島ヤンキト高原で1万3,000年前の住居跡 六角形の半地下住居に暖房システム「カン」

択捉島リリスク(紗那)郊外のヤンキト高原で発掘調査を行っているサハリン考古学調査団は、1万3,000年前に古代人が住んでいた半地下式の竪穴住居跡10カ所を発見した。そのうち最大の2つは、六角形で高度な暖房システムを備えていたと発表した。調査団の団長でサハリン国立大学のヴャチェスラフ・グリシチェンコ准教授(博物館長)によると、六角形の住居の形は主として気候条件に対応したものだという。倒立した船のような流線型の形状は、卓越風に向かって配置されていた。その結果、突風は壁ではなく、住居の隅に分散され荷重が減少した。「古代の人々は地下約50㎝の深さまで穴を掘り、残土は住居の覆いとして活用した。古代人は建築について多くのことを知っていた。住居の半分を土で覆い、上部は木製の構造物、季節に応じて笹や動物の皮で覆った」という。この種の住居は1万3,000年前に使用された。新石器時代の標準的な円形の住居は、島々の気候条件に適合しなかったため、独特の形状を発明した。グリシチェンコ団長は実際に六角形のテントを作って試したところ、風でテントが飛ばされることはなく、かなり暖かかったという。六角形の住居跡からは「カン」と呼ばれる暖房システムが発見された。暖房は囲炉裏ではなく、壁際に特別なストーブがあり、そこから延びたパイプは寝床の下を通って、外に煙を排出していた。こうした暖房はアムールやサハリン北部に住んでいた古代人にとって一般的なものだったが、択捉島では初めて発見された。今回の発掘面積は3,500㎡あったが、作業はほぼ終了した。(サハリン・メディア2022/9/21)