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択捉島の水産会社「コンチネント」自社生産の野菜を貯蔵、自社のスーパーで販売 冬期間も安定した食糧供給を実現

 択捉島の水産企業「コンチネント」のグループ会社「コンチネント・アルゴ」が自社の食料品販売店「ファーマーズ・プロダクツ」を拡張し、今では島内最大のスーパーマーケットになっている。また、同社が運営する農民農場「自然の味覚」はキャベツ、ニンジン、ハーブ、ビート、ジャガイモを生産している。2,000トンを貯蔵できる倉庫の整備によって、択捉島住民に冬期間も野菜や肉、魚を提供できるようなり、余剰分をサハリンに移出することも可能になった。「貯蔵倉庫ではジャガイモ、キャベツ、タマネギ、ニンジンを保存している。すべて択捉島で生産したものだ。今日は約80トンのジャガイモと15トンのキャベツを収穫した」と、コンチネント・アグロのヴァレリー・オクセンニュク社長は胸を張った。同社はいくつもの温室を整備し、トマトやキュウリを栽培。来年はさらに温室を増設して作付面積は約10倍となる見込みだ。択捉島の食糧問題は冬期間、流氷などのため船舶が接岸できないことに起因する。以前は、択捉島住民は店の商品が補充されるのを何週間も待つだけだったが、それも今は昔の話になった。コンチネント・アグロは近い将来、独自に肉と乳製品の生産を開始する。現在、ほとんどの肉は輸入されている。

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 一方、水産に目を向けると、サケマスの漁獲量を増やすために島内の企業家は孵化場を開設している。最近、コンチネントが開設した孵化場「パイオニア」は「今年500万粒のカラフトマスの卵と1000万粒のサケの卵を生産した。来春には稚魚が海に出て、カラフトマスは1年以内に戻ってくる」と孵化場主任であるセルゲイ・オジガノフさんは説明した。択捉島での大規模なプロジェクトは、地方自治体とサハリン州からの補助金がなければ実現しなかった。択捉島を管轄するクリル地区行政府の経済部門担当のドミトリー・エロフィーエフ部長は「択捉島には15の水産加工場がある。このうち13は私企業、残りは公営である。行政は約100ヘクタールの土地を提供し、施設整備に対する補助や起業支援を通じて中小企業をサポートしている」と語る。サハリン州はサケ類の孵化事業でロシアのリーダーであり、68の孵化場が稼働し、毎年10億尾以上のサケとカラフトマスの稚魚が放流されている。州のシロサケの漁獲量は年間約3万トンである。(サハリン・クリル通信2021/12/13)

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