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択捉島「クリル発展計画で国の資金急減」それでも島は発展している

択捉島を視察したサハリン州議会の社会政策と経済開発に関する委員会に所属する議員らが実務訪問の結果を総括した。今回の調査でクリル諸島(この場合、北方四島)の開発が主にサハリン州予算で実施されていることが改めて確認された。連邦計画である「クリル諸島社会経済発展プロクラム(2016-2025)」ではロシア財務省からの資金拠出が急激に減少し、プログラムは主に州予算からの支出で賄われている。政府支出の減少は、島の社会経済発展に影響を与えたが、それにもかかわらず、択捉島ではいくつかの施設の建設が続いている。2022年にキトヴィ村(内岡)に36戸が入るアパート2棟と、レイドヴォ村(別飛)に新しい中等学校が建設された。昨年は、クリリスク(紗那)で400人の児童生徒が学べる中等学校が開校し、地域中心部からブレベスニク空港(天寧)までの高速道路の再建が続いている。 現在、市街地の道路も舗装され、ポグラニチヌイ川(別飛)に橋が建設され、キトヴィ村には幼稚園、住宅などの社会施設が建設されている。漁業を中心に産業も発展している。昨年だけで、民間投資は26億ルーブル以上に達した。キトヴィには、ギドロストロイ・グループの漁業会社クリリスキー・ルイバクが年間最大8万トンの最終製品を処理できる水産加工複合施設、最大2000トンの容量を持つ冷蔵庫、魚粉と魚油の生産工場などを建設した。また、議員たちは州政府に対し、現在ロシア国防省が所有するゴリャチエ・クリュチ村(瀬石温泉)の未使用土地区画のクリル地区への譲渡を実現するよう勧告した。この地域は、幼稚園、学校、診療所のほか、郵便局、薬局などの重要な社会施設を収容する多機能センターの建設が求められている。同時に、議員らは、軍の領土内で計画されている未完成の建設プロジェクトを廃棄すること推奨した。(sakh.online 2024/5/17)

択捉島・内岡にあるクリリスキー・ルイバクの「ヤースヌイ」工場