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貝殻島灯台に十字架とイコン設置か ロシア正教会、軍関係者らに渡す 実効支配を誇示

 ロシアが実効支配する北方領土歯舞群島貝殻島灯台に、ロシア正教会が十字架と聖像画イコンを設置しようとしていることが14日分かった。灯台では7月下旬に何者かがロシア国旗を掲げ、日本政府が抗議したばかりで、ロシア側で北方領土支配を誇示する動きが強まっている。(北海道新聞2023/8/15)

 正教会ユジノサハリンスク・クリール教区の発表によると、教会関係者が9日、サハリン州南部コルサコフ港でロシア軍太平洋艦隊とロシア地理学会の関係者に十字架とイコンを渡した。「(貝殻島のロシア語名)シグナーリヌイ島の灯台に設置される」と説明している。既に設置されたかどうかはわかっていない。

 ロシア国防省と地理学会(会長・ショイグ国防相)は2019年からクリール諸島(北方領土と千島列島)で自然や遺跡などの調査を行い、サハリンメディアによると7月中旬~8月上旬に訪れた千島列島北部のシュムシュ島にも十字架とイコンを置いた。8月中旬以降、国後島周辺で調査の再開を予定している。

 貝殻島灯台根室市納沙布岬沖約3・7キロの距離にある。ロシア国旗の設置を巡っては、通信アプリ「テレグラム」で色丹島の話題を発信するチャンネルが「太平洋艦隊の水路艇乗員が立てた」と指摘している。

 ロシア正教会は最高位のキリル総主教がプーチン大統領の盟友とされ、ウクライナ侵攻を明確に支持するなど政治色が強い。(本紙取材班)

"ロシア国旗"が掲げられた貝殻島灯台に今度はロシア正教の「十字架とイコン」設置へ…北方領土歯舞群島でロシア化をアピール

(北海道文化放送2023/8/15)

北方領土歯舞群島にある貝殻島に十字架などロシア正教のシンボルが設置されることが分かりました。ロシア極東サハリン州ロシア正教の地元広報は8月14日までに、北方領土歯舞群島にある貝殻島に、島を守る十字架と「イコン」と呼ばれる天使などを描いた絵画を設置すると発表しました。いずれもロシア正教のシンボルで、プーチン政権に近い宗教の象徴を掲げることで、北方領土のロシア化を強める形です。ロシア正教の地元広報によりますと、8月9日にサハリン南部コルサコフ港で、教会関係者から貝殻島に設置される十字架と「カザンの聖母(せいぼ)」と名付けられたイコン画がロシア軍の水兵らに手渡されました。すでに貝殻島に設置されたかどうかは不明です。貝殻島をめぐっては、島内の灯台に8月2日、突然ロシア国旗が掲げられたことが確認されていて、外務省がロシア大使館に抗議していました。今回の十字架などの設置について、在ロシア日本大使館は「個別の案件の回答は差し控える」としています。