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北方領土・貝殻島灯台の十字架、鮮明に 聖像画らしきプレートも

 【根室】ロシアが実効支配する北方領土歯舞群島貝殻島灯台の上部に設置されたロシア正教会などで使われる十字架の姿が、貝殻島まで3・7キロの納沙布岬からの撮影で鮮明にわかった。ここ数日、納沙布岬沖は霧が少ないため、灯台上部の十字架付近には長方形の聖像画(イコン)のようなものも見受けられる。(北海道新聞根室版2023/9/28)

 26日午後、納沙布岬から撮影した。十字架は茶色で、形状は複数の横棒を組み合わせた八端十字架に似ている。十字架の後ろの外壁には黒い長方形のプレートのようなものが設置されており、ロシア側で設置が報じられているイコンの可能性がある。

 納沙布岬沖は夏場には霧が濃い日が多く、7月末にロシア側の工作が始まって以来、灯台上部の工作物はおぼろげに見える程度だった。9月下旬になり周辺は晴天が続き、納沙布岬からは肉眼でも貝殻島が見える日が増えている。

 ロシア極東サハリン州の地元メディアは今月、貝殻島灯台ロシア海軍ロシア正教会の十字架とイコンを設置したと伝えた。

 8月24日に北海道新聞が撮影した貝殻島周辺で活動する作業船は、ロシア海軍の多用途観測艦とみられる。関係者によると、7月下旬に貝殻島にロシア国旗が設置された際、周辺では夜も作業用とみられるライトの明かりが見られたという。(国政崇、松本創一)

歯舞群島貝殻島灯台上部。十字架とその下に四角いイコンと思われるプレートも見える=26日正午(納沙布岬から 国政崇撮影)

貝殻島灯台。海面から灯台に上がるための縄ばしごのようなものも設置されている=26日正午(納沙布岬から 国政崇撮影)

貝殻島灯台の塗装作業を終えた後、戻ってきた小型船をクレーンで吊り上げ収容するロシア海軍多用途観測艦とみられる船=8月24日午後3時(納沙布岬から 国政崇撮影)