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北方領土返還運動の灯 富山で継ぐ

 入口には「次世代につなぐ返還運動の思い」と記されていた。

富山県黒部市に2020年9月、開設された「富山県北方領土史料室」。道外で自治体が運営する唯一の北方領土問題啓発の専用施設だ。

 「ロシアのウクライナ侵攻があってもなくても、返還運動が長い道のりなのは変わらない。北方領土問題を伝えていくしかない」。

 元島民でつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)富山支部の濵松禎高支部長(65)は12日、史料室を案内しながら語った。

 富山の漁業者の多くは戦前、好漁場だった北方四島に出稼ぎに向かった。終戦後、北海道に次いで多い1425人が引き揚げ、黒部は県内最多の835人に上る。

 濵松さんは母が歯舞群島水晶島出身の元島民2世。史料室に並ぶ富山と北海道の関わりや北方領土のライブ映像が見えるディスプレー、根室市から寄贈された四島のジオラマなどは、濵松さんが展示を決めた。(北海道新聞2022/5/21)