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北方四島周辺マダラ漁断念 コロナでロシア側の書類遅れ

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 根室を拠点に北方四島周辺のロシア主張200カイリ内で操業するマダラ底はえ縄漁船が、漁期となる1~2月の操業を断念した。新型コロナウイルスの影響で、操業に不可欠な操業日誌がロシア側から届くのが遅れたことに加え、ロシア側が近年、四島周辺水域で日本漁船への監視を強めていることも影響した。(北海道新聞2021/1/25)

 ロシア水域での操業条件は日ロ漁業委員会(地先沖合交渉)で両政府が決める。今年の日本漁船へのマダラの割当量は昨年12月、前年と同じ810トンとすることで妥結。100トン以上の漁船6隻でつくる北海道中型底刺網はえなわ協会(根室)は、前年に続き割当量が少ないため出漁を見送ったが、50トン未満の小型船14隻は今月5日からの出漁を目指していた。

 根室地区小型はえなわ協議会によると、例年であれば同協議会の担当者がロシア・ウラジオストクに赴いて、ロシア漁業庁から操業許可証と操業日誌を受け取り、日本に持ち帰る。しかし今年は新型コロナの影響でロシア入国が難しく、国際宅配便で郵送してもらったが、出漁に必要な操業日誌が届いたのは17日だった。

 マダラは産卵期を過ぎると鍋の具材に使われる白子(マダチ)がなくなり、商品価値が下がる。「1月下旬にはマダチが抜ける」(漁業者)ため、各漁船とも出漁しても採算が合わないと判断したようだ。マダラは沿岸などでも漁獲されるため消費者への影響はないとみられるが、同協議会の飯沢総(さとし)会長は「サンマも厳しい状況で、これが続けば経営が立ちゆかなくなる船も出てくる」と懸念する。

 四島周辺水域では近年、日本漁船がロシア国境警備局の臨検を受け、操業に影響が出るケースが相次いでおり、昨年1月には根室の底はえ縄漁船1隻が拿捕(だほ)された。漁業者からは「拿捕の恐れを背負ってまで出漁したい状況ではない」との声が聞かれた。(武藤里美)

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