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北方領土と竹島、尖閣諸島 公民・地理教科書「固有の領土」全社が明記 歴史は徹底されず 中学校教科書検定

 文部科学省は22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。領土問題を巡る教科書の記述では、令和元年度の前回検定に続き、社会科の公民と地理で全社が北方領土竹島島根県隠岐の島町)、尖閣諸島沖縄県石垣市)を「固有の領土」と明記し、政府見解に沿った記述の定着がみられた。ただ、歴史では全社が領土について取り上げているものの、今回も一部の教科書には明記されなかった。(産経新聞デジタル2024/3/22)

 公民と地理は学習指導要領で「固有の領土」として指導することが求められており、写真や地図を多用して領土問題を解説する教科書が目立った。尖閣諸島に領土問題が存在しないことや、竹島を巡る平和的解決に向けた努力についても全社が触れている。

 一方、8社8点が合格した歴史では、1点に北方領土、3点に尖閣諸島、2点に竹島がそれぞれ「固有の領土」であることが明記されなかった。歴史は学習指導要領で明記が求められていない。いずれも明記がなかった帝国書院は「『固有の領土』という用語を避けたわけではない。日本の領土になった歴史的経緯は丁寧に説明しており、表現上の理由だ」(編集担当)とした。

 教科書問題に詳しい麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「社会科教育は互いに関連が深い地理、歴史、公民を一体的に考えるべきで、表記に揺らぎがあると体系的な理解の妨げになる恐れがある」と指摘している。