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<四島ウオッチ>択捉「地区長」辞任 施策に批判も

 北方領土択捉島を事実上管轄するロシア・サハリン州クリール地区行政府のロコトフ地区長が1日、辞任した。2019年2月から約4年10カ月務め、来年2月まで任期は残っていたが、辞任理由は明らかになっていない。(北海道新聞2023/12/7)

 ロコトフ氏は1日、自身の通信アプリで「私たちの地区は文字取り発展した」と実績をアピールしたが、辞任を契機に、その施策に州内で批判の声が出ている。やり玉に挙がっているのは、同氏が今年、島中部の内岡から高級ホテル「ヤンキト」までの約4キロの道路舗装に、3年間で計18億ルーブル(約28億5千万円)の支出を決めたことだ。

 巨費を投じて舗装する先のホテルは、わずか9室しかない高所得層向け。一方、島では道路総延長74・5キロのうち舗装は約3割の24・2キロにとどまる。各2千人超が暮らす2大集落の紗那―瀬石温泉間も未舗装なだけに、サハリン本島のメディアは「島にとって社会的重要性がない」と批判する。

 ただ、ヤンキトは、水産や観光など幅広い事業を展開する北方領土最大の企業ギドロストロイが手がける。択捉島は同社の企業城下町として開発が進んだ経緯がある。ロコトフ氏と二人三脚で歩んだクリール地区議会のベロウソワ議長は同社の元社員で、島のメディアも現時点で道路整備について問題視する論調はみられない。

 ロコトフ氏を巡っては、サハリンのブロガーなどの間で州立養鶏会社の社長に転身するとのうわさが流れている。(本紙取材班)