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若者の関心、薄れぬように 島民2世の志発会副会長・清水温さん(71)=根室市<四島よ私たちの願い 日ロ交渉停止>17

 「島の土を踏み、家があった場所に『清水家跡地』の標識を立てたら、両親の古里に来た実感があふれてきてね」。歯舞群島志発島の元島民らでつくる志発会副会長で、島民2世の清水温(ゆたか)さん(71)は、1999年に志発島に初めて上陸した時の感動を今でも忘れない。(北海道新聞根室版2022/11/18)

 当時、初めて行われた「自由訪問」。眼前の真っ白な砂浜の美しさにも圧倒された。再訪を誓い、その後も墓参やビザなし交流などで4回訪問したが、2016年を最後に島を訪問できていない。根室でともに暮らす元島民の母梅さん(97)が元気なうちにもう一度行き、島の今の様子を母に教えてあげたいと願う。

 今、日ロ関係の悪化によりビザなし渡航が中断する現状にもどかしさを感じている。「元島民3、4世が、訪問経験も無いまま北方領土問題に関心を持ち続けるのは難しい」と考えるからだ。「以前の状況に早く戻って、若い人が訪問できるようになってほしい。若い世代の関心は薄くなるばかりだ」と訴える。

 根室市出身。30年以上前、志発島の元島民2世約90人による「志発会青年部」を発足させた中心メンバーだった。当時、「啓発も若い力が盛り上げていくべきだ」と考えたという。

 その青年部は2年前に1世による親会の「志発会」と統合した。最盛期には親会だけで120人以上いた会員は今、2世による青年部と統合しても72人。清水さんは「会員の半数以上は60歳以上で、活動を担う後継者確保が急務になっている」と語る。(川口大地)