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国後・色丹の観光クラスター構想を説明 サハリン州政府が議会で説明

サハリン州政府が4つの優先投資観光プロジェクト(ブッセ湖、オネコタン群島、エトロフ・リゾート、観光クラスター南クリル)について州議会に説明した。このうち「観光クラスター南クリル」は昨年、政府機関が実施した全ロシア・エコツーリズム・コンテストに参加して注目された。マスタープラン策定の前提となる地域公開討論を今春、国後島ユジノクリリスク(古釜布)で実施する予定だ。開発エリアは国後島色丹島にまたがる。国後島のスストルボフスカヤ生態系トレイル(自然散策路)、ゴロヴニン火山(泊山)のカルデラ、ストルブチャティ岬(材木岩)、メンデレーエフ火山(羅臼山)、チャチャ火山(爺爺岳)。しかし、ホテルなどの整備は十分ではない。州政府はメンデレーエフ火山の麓にスパコンプレックスを建設したいと考えている。このためキスリー川からゴリャチエ・クリュチ(瀬石)の温泉施設まで道路を整備する必要があり、事業は13億ルーブルと見込まれている。ストルボフスカヤ生態系トレイルには、開発エリアが設定され、温泉施設を建設する。色丹島はヘビやクマがいないことや島の3分の2が自然保護地域に指定され制限があることから、グランピング(※キャンプ道具などを用意しなくても気軽にキャンプを楽しむことができ、ホテル並みのサービスも受けられる、新しいキャンプスタイル)を想定している。「観光クラスター南クリル」は約200人の新規雇用を創出し、20億ルーブル以上の民間投資を見込んでいる。州政府側の説明に対して議員からは「夢物語を語るのではなく、国内観光に集中する必要がある。何十億ルーブルという投資なしで、2019年には1000人が国後島のチャチャ火山に登山した。その多くはサハリン住民だ。第一に、サハリン住民のための開発でなくてはならない。地域の生活の質を向上させることが観光客を引き付けることにつながる」と述べた。(サハリン・インフォ2021/3/6)

 

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