北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

千島列島中部・ハリムコタン島 アザラシの体から煙?

クリル諸島中部(千島列島中部)のハリムコタン島(春牟古丹島)で、観光客が不思議な現象をビデオに収めた。映像を見ると、岩の上に横たわっているアザラシの体から白い煙が上がっていた。アザラシはヒレで体をひっかいており、掻くのをやめると白い煙は出なくなった。何とも不思議な現象だが、おそらく空気と海水の温度差が原因しているのではないかとみられる。(サハリン・インフォ2022/9/23)

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択捉島の紗那と別飛の20人を招集 プーチン大統領の部分的動員令で

択捉島を管轄するクリル地区行政府は23日、政府が設定した部分的動員の任務を完了した。択捉島のクリリスク(紗那)とレイドヴォ(別飛)の住民20 人が招集され、サハリンの訓練キャンプに到着した。地元紙「赤い灯台」が報道した。クリル地区と北クリル地区(パラムシル島などを管轄)の軍事委員会は「地区に設定された部分的動員の任務を果たした」と語った。「赤い灯台」紙は、現時点で地区での新兵の追加募集は計画されていないと書いている。9月21日、プーチン大統領がロシア国内の部分的動員を発表し、翌日から全地域で招集が始まり、国後島から25人、北クリルのセベロクリリスクからは5人が招集された。(sakh.online/2022/9/23)

 

「安倍氏が2島軸に転換」 道新政経懇 本紙記者が領土交渉を解説

 道新苫小牧政経文化懇話会(代表幹事・貴志雅之北海道新聞苫小牧支社長)の例会が21日、苫小牧市のグランドホテルニュー王子で開かれ、北海道新聞でロシア関係の報道に携わってきた東京報道センターの渡辺玲男部次長=元モスクワ駐在=が「安倍元首相の対ロ外交とウクライナ侵攻」と題して講演した。(北海道新聞苫小牧日高晩2022/9/22)

 渡辺部次長は安倍晋三元首相が在任中に取り組んだ北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉について、「安倍政権以前の交渉方針だった北方四島返還から2島返還を軸とした交渉に大きく転換した」と指摘。安倍政権は2島での決着でも、1993年の東京宣言に盛り込まれた「四島の帰属問題の解決」に当たると解釈していたと説明した。

 また、日本国内での関心の低下やロシアでの愛国ムードの強まりから「領土交渉の早期再開は困難な状況」との見方を示し、安倍政権の交渉を検証した上で「長期的な対ロ戦略の再構築が必要だ」と強調した。

 ロシアのウクライナ侵攻については、支持率の高まりなどから「(ロシア、ウクライナ)両国首脳とも国内で引くに引けない状況にあり、長期化の恐れがある」と話した。(柳沢郷介)

 

安全操業9月中にも出漁へ 日本外務省、ロシア側へ送金手続き

 ロシア外務省が北方四島周辺水域での日本漁船の安全操業に関する協定の履行を停止した問題で、日本外務省は22日、ロシア側が協定履行の条件としていたサハリン州との協力事業に関する援助金約1億5千万円の支払い手続きを始めた。これによりロシア側の協定履行の条件が整い、出漁を見送っていた9月16日解禁のホッケ刺し網漁は、早ければ月内にも操業できる見通しとなった。(北海道新聞2022/9/23)

 ロシアはウクライナ侵攻に対する日米欧の制裁で、国際決済網から排除されており、送金方法が課題となっていた。日本外務省によると、制裁に抵触しない形で金融機関を通じた送金にめどがつき、手続きを開始したという。

 安全操業は1998年に日ロ両国間で調印した協定に基づき、ロシアが実効支配する四島の管轄権に触れない形で行われてきた。同州との協力事業に関する援助金は安全操業の操業条件には入っていないが、ロシア側の要望に応じて事実上一体の形で、ほぼ毎年支出してきた。

 関係者によると、ロシア側は援助金が支払われれば、協定を履行する見通し。ホッケ刺し網漁には羅臼漁協(根室管内羅臼町)所属の11隻が出漁を予定しており、漁業者向けの指導会議などを経て、出漁する。

 日本政府は、サハリン州への援助金について、欧米と協調して対ロ制裁を行う中で支払うことに当初、慎重姿勢だったが、漁業者の意向を踏まえて松野博一官房長官が16日に支払う意向を表明していた。(荒谷健一郎、今井潤)

 

臨検急増、安心して漁を コンブ漁師・鳥潟好さん(74)=根室市=<四島よ私たちの願い 日ロ交渉停止>6

 「今年も沖に出られた」。根室の漁師、鳥潟好さん(74)は、納沙布岬から3・7キロ先の漁場へ猛スピードで進む220隻の漁船団の中で、喜びをかみしめていた。例年より3週間遅れでスタートした北方領土歯舞群島貝殻島周辺のサオマエコンブ漁の初日、6月22日のことだ。(北海道新聞根室版2022/9/23)

 ウクライナ侵攻をめぐって日本がロシアに制裁を科した2月、「貝殻島コンブ漁にも影響が出るのでは」と不安がよぎった。ロシア側が対抗措置を取る可能性があると思ったからだ。実際、日ロ民間交渉は難航、妥結は例年なら漁真っ最中の6月3日だった。

 今年は漁場の貝殻島周辺で、ロシア国境警備局による臨検が急増。鳥潟さんの船も初日に臨検を受けた。「ルールを守れば大丈夫、と分かっていても不安はつきまとった」

 鳥潟さんは根室納沙布岬から約15キロ南西の太平洋側、双沖地区で代々続くコンブ漁師3代目。200カイリ水域の設定に伴う1977~80年の貝殻島周辺の漁中断も経験した。当時を知るだけに、日ロ関係悪化への焦りは強かった。

 領土問題の早期解決を願う気持ちは、元島民らと同じだ。北方四島水域での操業に生活をかける漁業者として、安心して出漁できる状況を何よりも望んでいる。

 「貝殻島コンブ漁は、先人から大切に引き継いできた。来年は落ち着いて操業できる海に戻ってほしい」と願いを込めた。(川口大地)

 

100歳の元国後島民土田さん逝く 帰れぬ故郷、俳句に残し 思いは孫へと受け継がれ

 国後島乳呑路(ちのみのち)出身の土田一雄さん(100)=釧路市=が20日、老衰のため自宅で亡くなった。大正から令和の4時代を経験し、北方領土の暮らしを知る生き証人として、近年は四島を題材にした俳句を新聞に数多く投稿。作品からは望郷の念や家族思いでユーモアのある人柄がしのばれる。(北海道新聞釧路根室版2022/9/23)

 元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟によると土田さんの死去で、22日時点で100歳以上の元島民の会員は道内1人、道外1人だけになった。

 土田さんは1922年(大正11年)、国後島最高峰の爺々岳(ちゃちゃだけ)のふもとで生まれた。43年(昭和18年)に海軍に召集。終戦直後、島に戻ろうと根室から国後島の郵便局に通信して旧ソ連軍の侵攻を知り、渡航を断念した。

 戦後初めて乳呑路を訪れたのは95年のビザなし渡航で、2015年に国後島を訪れたのが最後となった。爺々岳を目に焼き付け、「高齢で自分はもう島には行けない。子や孫、ひ孫にも見てほしい」と語った。

 「帰れない故郷を句に残したい」と90歳を過ぎて始めた俳句は生きがいとなった。「夕焼けや黄金に輝く爺々の峰」「国後の丘の細道昆布舟」など四島を題材にした句が多い。孫の和世さん(39)=帯広市=は昨年、白寿を祝い新聞に投稿した100句を句集にし、サプライズで一雄さんにプレゼントした。

 和世さんは「戦争で故郷を奪われるなどつらいことも乗り越え、最後まで自宅で暮らし病気もしなかった。祖父の生き方を尊敬している。故郷への思いは私がしっかりと引き継ぎたい」と大往生をたたえた。(今井裕紀)

 

大統領報道官 部分的動員100万人招集「疑惑」を否定 国後島では58人が招集され25人が軍に送られた

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、部分的な動員の一環として最大 100 万人のロシア人を招集するという「疑惑」の計画に関する情報を否定した。21日、プーチン大統領は部分的動員を発表し、対応する政令に署名したが、それは 10 のパラグラフからなり、7 番目の項目は非公開となっていた。ぺスコフ報道官は「私が言える唯一のことは、セルゲイ・ショイグ国防相がインタビューで、部分動員の一環として 30 万人が招集される と述べたことだ。最大30万人だ」と語った。サハリン州では22日、いくつかの地区で動員が行われた。ロシアで最も小さい地区の1つであるセベロクリリスク(北クリル・パラムシル島)では、5人が呼び出され、ヘリコプターでサハリンに送られ、計画は実行された。国後島では同日58人が招集されたが、健康診断に合格してサハリンに飛んだのは25人だけだった。スミルヌイフ地区では、45 人の男性が招集され、29人が医師によって不適格とされた。(astv.ru 2022/9/23)