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国後島 深海からの謎の訪問者オウギハクジラの死骸が相次いで見つかる

8月3日、国後島南部ベスロフスキー半島(ケラムイ崎)の海岸で、住民が浜に打ち上げられたクジラの死骸を発見した。クリル自然保護区の職員が現場で調査したところ、国際自然保護連合の『IUCN絶滅危惧種レッドリスト』に掲載されているオウギハクジラであることが判明した。さらに5日、国後島のセルノヴォツカ川(東沸川)の河口近の海岸で保護区の職員が2頭のオウギハクジラクジラの死骸を発見している。オウギハクジラのデータは少なく生態はよくわかっていないが、マッコウクジラと同様に1,000 メートル以上の深さまで潜ることができ、イカや魚を食べる。保護区の専門家は「ロシアの領海では、生きた個体はまだ見つかっていません。海岸に打ち上げられた死体の発見は少数知られています。昨年末、沿海地方の海岸に打ち上げられた2頭が発見されセンセーションを巻き起こしました」と指摘。生きたオウギハクジラの目撃例は世界中でも片手で数えられるほどである。死骸を見つけたのはゴロブニノ村のヴァレリー・クドリャフツェフ村長で、場所はベスロフスキー半島南端の海岸だった。現場で撮影された写真は、種を特定するためにクジラ類の専門家である生物学博士オルガ・フィラトワ氏に送られた。同氏はそれがオウギハクジラであると推測したが、より鮮明な写真と現場での詳細な調査が必要だと話した。翌4日、同保護区の科学部門の専門家が現場に行き、測定を行い、組織サンプル(皮膚、筋肉、歯茎)を採取した。この生体材料はA.N.セベルツェフ生態進化研究所に送られ、分子遺伝学的分析が行われる。発見された個体の体長は4.35m。「成長すると通常5m以上あります。歯がまだ生えていない若いメスと若いオスの両方である可能性があります」と、フィラトワ氏はコメントしている。また、皮膚にサメの噛み跡に似た傷跡があった。 (サハリン・メディア2024/8/6)

サメに咬まれたとみられる傷跡

国後島・東沸川河口で見つかった2頭の死骸