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アキノタンポポモドキ、野付半島と根室で確認 外来種、北方領土で繁殖 北海道本島で初

 釧路市の民間研究機関「北方環境研究所」研究員の深津恵太さん(46)らのグループが、野付半島標津町別海町)と根室市外来種多年草「アキノタンポポモドキ」を北海道本島で初確認したと報告した。同種は北方領土で繁殖しており、深津さんらは在来種への影響を懸念している。(北海道新聞デジタル2024/6/14)

北方領土で繁殖 研究者「早急な駆除必要」

 植物愛好家でつくる「北方山草会」(事務局・千歳市)の会誌で今年3月に発表した。

 アキノタンポポモドキは夏~秋にタンポポに似た花を咲かせる花茎約30~40センチのキク科植物。欧州から西シベリアにかけてが原産とみられ、外来種として北米や千島列島などに分布。国後島択捉島色丹島でも確認されているが、北海道本島では標本が残る記録はなかった。

 深津さんは2020年7月、野付半島先端側の植物調査中、盛り土や裸地などで同種を発見し、21年までに同半島で標本を採取。グループの調査で根室半島先端側でも広範囲で発見し、密集している場所もあったという。深津さんは「茎や種子の数が多く、野付半島の裸地では急速に拡大していた。次々と分布を広げることにより、在来植物が減少するおそれもある」という。

 発見場所の周辺は希少な在来植物が生息する野付風蓮道立自然公園があり、深津さんは「どのような影響があるのか調査を進めるとともに、早急な駆除が必要だ」と訴える。

 道内でみられる外来種のブタナ(タンポポモドキ)に似ているが、花を付ける茎がまっすぐ伸びず、うつぶせ状にはってから直立するなどの違いがある。深津さんは「アキノタンポポモドキかわからないときは、目撃情報を寄せてほしい」と呼びかけている。目撃情報などは釧路市立博物館のメールアドレス、museum@city.kushiro.lg.jpへ。

根室半島の道路沿いで見つかった「アキノタンポポモドキ」(加藤ゆき恵さん提供)