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<四島ウオッチ>択捉 「トップ」不在長引き混乱

 ロシア・サハリン州で、北方領土択捉島を事実上管轄するクリール地区行政府が混乱している。昨年12月に辞任したロコトフ前地区長の後任に手を挙げる人がなく、トップ不在が続いているからだ。(北海道新聞2024/2/28)

 地区長は公募制で、法律や経済、行政といった高等専門教育を受け、いずれかの分野で10年間の実務経験があることなどが条件。州政府や地区議会、有識者らでつくる選考委員会が応募者から決定する仕組みだ。

 初回の選考日の12日は応募がなく延期され、2回目となった26日も応募はゼロ。選考委は30日以内に3回目の選考日を決めて候補者を募集するというが、四島関係者は「決まる保証はない」と苦笑する。

 今月中旬、サハリン州のネットメディアは「誰もポストにつきたがらない。クリール地区には4億㍔(日本円で約6億5千万円)の負債がある」とする地元関係者の話を伝えた。理由は不明だが、事実なら負債は地区行政府の年間歳入の約15%に上る。

 地区財政の窮状を証明するかのように、択捉島を拠点にする北方領土最大の水産・建設企業ギドロストロイは今月、道路維持業務の委託費約1億2600万㍔が未払いだとして地区行政府を州の裁判所に提訴した。昨年夏も同様の訴えをおこし、裁判所は地区行政府に訴訟費用などを加えた約1億4100万㍔の支払いを命じている。

 一部メディアからは州営の養鶏会社トップに天下ったロコトフ氏の責任を問う声も上がっている。(本紙取材班)