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復帰の奄美から北方領土考える 語り部・倉賀野さんが学習会

 奄美市名瀬の金久中学校(窪田智司校長、生徒292人)は18日、全校生徒による奄美群島日本復帰70周年記念関連授業「北方領土学習会」を同校体育館行った。北海道在住で元島民2世の倉賀野弘行さん(67)が来島し講話。生徒たちは講師の話に耳を傾け、日本復帰を果たした奄美群島からロシアの実効支配が続く北方領土問題を考えた。(奄美新聞社2023/12/18)

 倉賀野さんは、母親が歯舞群島出身。千島歯舞諸島居住者連盟道央支部長として返還運動を継続する一方、元島民から聞き取った話を全国で語り継ぐなど活動している。

 倉賀野さんは、終戦直後に旧ソ連軍が日ソ中立条約を一方的に破棄し、北方領土で強制的に略奪を繰り返してきた歴史を解説。「戦後78年、4島に住んでいた1万7千人も高齢化が進み半分以上が亡くなっている。古里を追われ、みんな無念の思いだった。正しく理解し協力してほしい」と訴えた。

 スライド写真で四島の概要や現在の状況、今も続く返還運動の活動などを紹介した倉賀野さんは「返還は国民みんなの願いだ」と強調。「皆さんには北方領土問題を頭の片隅に意識しながら、平和な世界を築いてほしい。平和は身近なところ、人と人との関係から始まっていく」と呼び掛けた。

 8月に北方領土青少年現地視察事業で北海道を訪れた1年の三浦あねむさん(13)は「奄美は復帰したのに北方領土は復帰できていない。アメリカに統治されていた奄美島民だからこそ考えられることもある。勉強しながら署名活動などで協力できれば」と話した。

倉賀野さんが話す北方領土の講話に耳を傾ける金久中生徒たち