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北方四島でタンチョウ増加 国後島では今年ヒナが7羽誕生

2023年に国後島ではタンチョウのヒナが7羽誕生し過去最高を記録した。これまでは2019年の4羽が最高だった。クリル自然保護区が確認している営巣地は国後島7カ所、小クリル列島5カ所(色丹島、ポロンスキー島《多楽島》、ゼリョーヌイ島《志発島》、ユーリ島《勇留島》、タンフィリエフ島《水晶島》各1カ所)の計12カ所。今年は国後島の全営巣地と色丹島の1カ所を調査した。営巣の可能性があるポロンスキー島、ユーリ島、ゼレリョ―ヌイ島、タンフィリエフ島は2019年以降調査が行われていない。国後島でタンチョウの数が徐々に増加している主な理由の一つは、タンチョウにとって最も危険な時期(孵化から子育てをする4月15日から6月30日まで)に、2016年以来「沈黙体制」を敷いていることがある。自然保護区の南部で作業を行っている団体を対象としたもので、タンチョウを怖がらせたり、近づいたりしないよう要請している。一般に、タンチョウは 2 つの個体群に大別できる。本土(大陸)のタンチョウは冬の間、韓国や中国南部へ渡り、かなりの長距離を移動するが、日本と南クリル諸島(北方四島)に生息する島嶼系のタンチョウは、ほとんど渡りをしない。私たちの島のタンチョウは冬の間、目と鼻の先の標津や別海に移動して冬を過ごしている。近年は、島の自然保護区内で越冬するつがいや幼鳥が確認されている。(クリル自然保護区ウエブサイト2023/11/21)

飛翔するタンチョウの家族。左下が幼鳥(2023 年 3 月 3 日。アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

国後島で誕生し巣立ったタンチョウのヒナの数

2 羽のヒナを育てるつがい( 2023 年 7 月 11 日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

色丹島デリフィン湾(能登呂港)のタンチョウのつがい。(2023 年 9 月 27 日、エレナ・リンニク撮影)

幼鳥と親(2023年6月、エカテリーナ・グリシャエワ撮影)

タンチョウの親子。中央に幼鳥がいる(2023 年 3 月 3 日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

オジロワシから家族を守る親(2023 年 2 月 28 日。アナスタシア・ツィデンコワ撮影)

国後島で前の年に生まれた3羽の若いタンチョウ(2023 年 5 月 4 日、アレクサンドル・ヤコブレフ撮影)

ヴェスロフスキー半島(ケラムイ崎)はタンチョウの営巣地。遠くにゴロヴニン火山(泊山)、右にメンデレーエフ火山(羅臼山)、左にイズメナ湾(泊湾)が見える(2023 年 10 月 24 日、エカテリーナ・グリシャエワ撮影)