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自見北方相が根室視察 ビザなし渡航再開「具体的展望ない」

 【根室自見英子沖縄北方・アイヌ施策担当相は12日、就任後初めて北方領土隣接地域の根室市を訪れた。北方領土を望む納沙布岬を訪問後、元島民らとの意見交換会に出席。墓参などビザなし渡航の再開について、日ロ間の最優先課題の一つと語る一方、「具体的な展望は申し上げられる状況にない」と述べ、現時点での実現は困難との見通しを示した。(北海道新聞2023/10/13)

 自見氏は納沙布岬で、ロシア側に壁面を白く塗られた北方領土歯舞群島貝殻島灯台などを視察。意見交換では、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の松本侑三理事長の「墓参は返還運動の原点。ロシアと早急に話し合いを進めてほしい」との要望に対し、「墓参にしっかり重点を置いて(ロシア側に)再開を求めていく」としたが、具体的な内容には触れなかった。

 自見氏は意見交換後の記者会見で、ビザなし渡航が行われず、利用が洋上慰霊などに限られているチャーター船「えとぴりか」について「(領土問題の)普及事業への活用を、さらに検討したい」と述べた。えとぴりかは今年、根室や横浜など全国4カ所での一般公開を計画。元島民らからは洋上での北方領土研修など幅広い活用を求める声が出ている。(川口大地)