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択捉島・紗那 新中学校の名称 ウクライナで戦死したロシアの英雄から

サハリン州政府のキクテワ教育大臣は、択捉島リリスク(紗那)に9月に開校した中等学校の名称を、ウクライナでの特別軍事作戦で戦死したロシアの英雄エドゥアルド・ノルポロフ(トランスバイカリア出身)の名前にちなんで「ノルポロフ中等学校」とすると発表した。大臣は「この決定は国を守る上でのエドゥアルド・ノルポロフの重要な役割に関連して行われた」と強調した。(sakhonline 2023/10/5)

北方領土で強まる戦時色 学校にはウクライナ侵攻「英雄」軍人の名前

(朝日新聞デジタル2023/8/30)

 ロシアの実効支配が続く北方領土では、9月からの新学期を前に8月半ば、学校施設の点検が一斉に行われた。択捉島を管轄するサハリン州クリル地区行政府の発行紙「赤い灯台」によると、中心地・紗那(しゃな、ロシア名・クリリスク)などの学校施設の点検ではテロ防止に最大の重点が置かれ、出入り口の施錠や非常警報類が念入りなチェックを受けた。ロシア軍の侵攻が続くウクライナから遠く離れた地でも強まる戦時色が、記事から伝わってくる。

 これに先立ち「赤い灯台」は、戦時下ならではといえる択捉島でとられた学校への一連の措置を報じた。7月26日の1面記事によると、紗那の中学校はウクライナへの軍事侵攻で昨年10月に戦死し、「ロシア英雄」の称号を与えられた軍人、エドゥアルド・ノルポロフ元特殊任務部隊指揮官を記念して「ノルポロフ名称中学校」と名乗ることにしたという。

 択捉島の学校がこうした措置をとるのは、別飛(べっとぶ、同・レイドボ)の中学校が「ソ連英雄」のピョートル・イリイチョフ兵士の名を冠して以来だそうだ。この兵士は、第2次世界大戦で日本が降伏を受諾した後の1945年8月18日に千島列島(同・クリル諸島)最北端の占守島(同・シュムシュ島)に侵攻を始めた旧ソ連軍部隊に参加し、戦死した。