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根室住民、領土問題解決悲観77% 2月比26ポイント増 深刻な日ロ関係悪化影響か<北方領土考 根室、稚内アンケート>

 北大スラブ・ユーラシア研究センターと北海道新聞が8月に根室稚内両市で行ったアンケートで、根室市内(一部根室管内)の住民が北方領土問題の解決について「見通せない」「困難」と悲観的に答えた人の合計は77%だった。今年2月に北海道新聞根室管内住民大会の参加者を対象に行った際は51%で、日ロ関係の悪化が深刻化する中、根室で領土問題の解決への厳しい見方が広がっている可能性がある。(北海道新聞根室版2023/9/13)

 アンケートは8月1日に新聞朝刊の折り込みで根室市内5830枚、稚内市内4935枚を配布。居住地別で根室市(一部根室管内含む)99人、稚内市68人、そのほか16人の計183人から回答があった。

 ウクライナ侵攻後、北方領土問題の解決の可能性について聞く質問に、根室で「解決は困難」とした人は43%、「見通せない」は34%と、悲観論が8割近くにのぼった。「前向きになった」は4%、「将来の解決に望み」は13%だった。

 2月の調査では、「見通せない」が30%、「難しい」が21%で合わせて51%。「将来に望み」が33%、「前向き」は13%だった。

 2月と8月の調査を比べると、「難しい・困難」は倍増、「見通せない」は微増。一方、「将来に望み」が20ポイント減少し、「前向き」も9ポイント減と、希望を抱いている人は大幅減だった。

 ウクライナ侵攻の長期化に伴い、元島民らの組織、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)がロシア側から「望ましくない団体」に指定され、歯舞群島貝殻島灯台ではロシア側が実効支配を誇示する動きを続けており、住民の意識に影響を及ぼした可能性がある。

 稚内では8月の調査で「解決は困難」とした人は62%、「見通せない」は29%と、悲観論が91%。「前向き」は3%、「将来に望み」は4%と、さらに厳しい認識だった。

 ウクライナ侵攻が日ロ平和条約交渉に悪い影響を与えているかという質問には、根室では「大いに与えている」69%、「多少与えている」24%で、「与えている」とした人は計93%。稚内では「大いに与えている」66%、「多少与えている」24%で、「与えている」は計90%だった。(松本創一、河相宏史)