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「早くまた古里へ」 羅臼町と千島連盟支部、独自の洋上慰霊

 根室管内羅臼町と千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)羅臼支部は17日、北方領土の元島民らによる洋上慰霊を行った。「早くまた古里の土を踏んで慰霊したい」―。参加者は島に渡れない無念さをかみしめながら日ロ中間ライン内側の船上から手を合わせた。(北海道新聞2022/9/18)

 北方領土への渡航事業はコロナ禍で2020年から中断され、今年に入りロシアのウクライナ侵攻の影響でさらに当面見送りになった。このため千島連盟は7、8月に根室港発着で計10回、洋上慰霊を実施。今回は同連盟羅臼支部羅臼町が昨年に続いて独自に企画し、町内に住む高齢の元島民らが参加しやすいよう羅臼漁港発着とした。

 同連盟の脇紀美夫理事長ら元島民と子孫14人、湊屋稔町長らの計32人が参加。チャーターした観光船に乗り国後島羅臼山を望む中間ライン手前で黙とうをささげた。その後、船上に設けた献花台に花を手向けた。

 脇理事長はあいさつで「感染症や日ロ関係悪化で元島民が島を訪ねる機会が奪われている。島へ行けない状況がこれ以上長引くのは耐えがたい」と話した。

 歯舞群島多楽島生まれの高岡唯一さん(87)は渡航再開が見通せない状況に「やはり墓参りはお墓の前でしたい。命がある限り返還運動を頑張りたい」と力を込めた。(小野田伝治郎)